韓国LG U+はファーウェイ制裁に問題なしとの見解、業界は懸念
- 2019年05月24日
- 海外携帯電話
韓国の移動体通信事業者(MNO)であるLG Uplus (LG U+)は中国のHuawei Technologies (華為技術)に対する制裁措置で特に問題はないとの立場を示したことが韓国メディアの報道で分かった。
LG Uplusは第5世代移動通信システム(5G)の基地局で韓国の移動体通信事業者としては唯一のHuawei Technologiesを採用した移動体通信事業者である。
しかし、Huawei Technologiesやその関係会社などは米国政府より制裁措置を受けており、米国の政府機関である商務省(Department of Commerce:DOC)傘下の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)よりEntity Listに追加された。
Entity Listの指定を受けた者と個人や事業体を含む米国人または外国人が物品、ソフトウェア、技術を含む特定の米国原産品を取引する場合は、産業安全保障局より発行されたライセンスの取得が必要となるが、原則としてライセンスの発行は拒否されるため、Entity Listの指定を受けた者は特定の米国原産品の取り扱いが難しくなる。
また、価値ベースで一定以上の米国原産品を含む製品まで米国原産品とみなされる。
Huawei Technologiesが製造する5Gの基地局には米国のBroadcomやXilinxから調達したチップ、米国のQualcommから調達した技術などが適用されており、米国原産品の調達が困難となれば基地局の製造に影響を与える見込み。
なお、LG UplusはHuawei Technologiesのほかに、韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)、フィンランドのNokia、韓国のEricsson-LGから5Gの基地局を調達するが、地域によって利用するベンダが異なり、米軍基地周辺を除いたソウル特別市、ソウル特別市を除いた首都圏北部、江原道でHuawei Technologiesを利用する。
このような状況で、韓国ではHuawei Technologiesから5Gの基地局を調達するLG Uplusへの影響が不安視されているが、LG Uplusは問題はないとの立場を示した模様である。
LG Uplusの関係者の話として伝えられており、Huawei Technologiesは5G基地局を2020年末まで供給できる程度の部品などの在庫を確保しているという。
LG Uplusは2020年末までにHuawei Technologiesを採用する首都圏などで5Gネットワークの構築がほぼ完了する予定であるため、大きな問題はないとの見解を示した。
ただ、韓国の関連業界では制裁が長期化した場合は影響が避けられないとの見方が出ており、すでにLG Uplusの株価下落も見られる。
韓国メディアでは言及されていないが、制裁対象者と協力関係を維持した者も内容によって制裁対象に指定される場合があるため、制裁対象者との関与は慎重さが求められる。
LG Uplusには簡単にHuawei Technologiesを排除できない理由がある。
5GのNR方式にはNR方式が単独で動作するスタンドアローン(SA)と、NR方式とLTE方式が連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)が規定されているが、LG Uplusはノンスタンドアローン(NSA)を導入している。
ノンスタンドアローンではLTE方式と同じベンダの採用が望ましいとしてLG UplusはLTE方式でHuawei Technologiesを採用したすべての地域においてNR方式でもHuawei Technologiesを採用した。
LG Uplusは基地局数が多く重要な首都圏でHuawei Technologiesを採用しており、ほかのベンダに交換するならば大量のNR方式とLTE方式の基地局の交換が必要で、さらにHuawei Technologiesの基地局はほかのベンダより安価とされているため、LG Uplusとしては簡単にHuawei Technologiesとの関係を切れない状況である。
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