レバノンの携帯電話事業者、従業員がストライキを開始
- 2019年11月18日
- 海外携帯電話
レバノンの移動体通信事業者(MNO)でAlfaブランドを展開するMobile Interim Company 1 (MIC1)およびtouchブランドを展開するMobile Interim Company 2 (MIC2)の従業員はストライキを開始したことが分かった。
Mobile Interim Company 1およびMobile Interim Company 2の従業員は本社や支店を含めてレバノン全土で無期限のストライキを実施しているという。
レバノンの電気通信大臣はMobile Interim Company 1およびMobile Interim Company 2のコスト削減に向けて30%の給与削減の計画を掲げており、従業員は給与削減の計画を撤回するよう要求している。
Mobile Interim Company 1およびMobile Interim Company 2はレバノンの国有企業で、レバノンの政府機関で電気通信分野の規制を司る電気通信省(Ministry of Telecommunications)と締結した管理契約に基づき、民間企業が国有の移動体通信事業者を管理する形態を採用しているが、コスト削減の計画などを筆頭にMobile Interim Company 1およびMobile Interim Company 2に対してはレバノン政府が一定の権限を有する。
レバノンでは移動体通信事業者の完全な民営化も検討されたが、長期化する政情不安やレバノンを取り巻く地域情勢が影響して現行の特殊な形態が続く状況である。
そもそも様々な要因から値下げが難しい市場環境であるが、移動体通信事業は2社の国有企業のみが展開する状況で競争も十分に促進されず、中東地域の国としては通話料金が高い状況にとどまる。
通話料金が高いために通話はWhatsAppの利用が多く、そこでレバノン内閣はWhatsAppを含めたVoIPサービスへの課税を決定したため、これがレバノン全土で抗議行動が行われる原因となった。
抗議行動の拡大を受けてVoIPサービスへの課税は撤回したが、レバノン国民は経済状況が低迷する中でレバノン政府に不満を溜め込んでいた模様で、抗議行動は収束せずにサード・ハリリ首相は辞意の表明に追い込まれた。
サード・ハリリ政権下で電気通信省は電気通信分野の民営化および2社の移動体通信事業者の新規参入を迎え入れて電気通信分野を改革する方針を示していたが、混乱の再発、政治的空白、政権交代などで電気通信分野の改革に影響が生じることは言うまでもない。
Mobile Interim Company 1およびMobile Interim Company 2のInterimは暫定的、一時的、臨時などを意味し、将来的に民営化するためにレバノン政府が暫定的に所有する目的で2002年に設立されており、同年には民営化に向けた取り組みも開始したが、実現には至らず暫定的のはずが17年も経過した。
結局は同じことを繰り返して停滞している印象しかなく、レバノンの安定が実現しなければ電気通信分野の改革も期待できず、負のスパイラルに陥っている。
なお、管理契約はエジプトのOrascom Investment Holding (OIH)およびZainブランドを保有するクウェートのMobile Telecommunications Companyが締結しており、レバノンで登記した会社を通じて管理する必要があるため、Orascom Investment Holdingは子会社でレバノンのOrascom Telecom Lebanonを通じてMobile Interim Company 1、Mobile Telecommunications Companyは子会社でレバノンのMobile Telecommunications Company Lebanonを通じてMobile Interim Company 2の管理を行う。
そのため、Mobile Interim Company 1はAlfa Managed by Orascom Telecom、Mobile Interim Company 2はtouch Managed by Zainとして展開している。
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