フィリピンのGlobe TelecomがSMCが保有する700MHz帯の回収を要望、政府は要望を受け入れず
- 2015年11月28日
- 海外携帯電話
Ayalaグループでフィリピンの移動体通信事業者であるGlobe Telecomはフィリピンの行政機関で電気通信事業などを管轄するNational Telecommunications Commission (NTC)に対して主にフィリピンのSan Miguel Corporation (SMC)グループが保有する700MHz帯を回収するよう要望を提出した。
San Miguel Corporationは100%子会社のVega Telecomの100%子会社であるLiberty Telecom Holdingsを通じて700MHz帯を取得している。
Liberty Telecom Holdingsは100%子会社のwi-tribe Telecomsを通じてWiMAXサービスを提供しており、将来的にはLTEサービスを導入する計画である。
すでにLiberty Telecom Holdingsは700MHz帯を保有しているが、長期にわたって未使用の状態が続いている。
700MHz帯はLTEサービスで活用することが可能であるため、Globe Telecomは未使用の700MHz帯を回収し、同周波数を有効に活用できる移動体通信事業者に再割当するよう要望した。
Globe Telecomの要望はフィリピンのPhilippine Long Distance Telephone (フィリピン長距離電話:PLDT)も支持しており、未使用となっている700MHz帯の有効活用を求めている。
なお、Philippine Long Distance Telephoneは自社でTD-LTE方式による固定通信サービスを手掛けるほか、2社の携帯電話サービスを提供する移動体通信事業者を傘下に保有しており、Smart CommunicationsとSun Cellularブランドを展開するDigitel Mobile Philippinesを通じて携帯電話サービスを手掛けている。
実質的にフィリピンで携帯電話サービスを手掛ける移動体通信事業者はAyalaグループとPhilippines Long Distance Telephoneグループの2グループ体制で構成されており、Globe TelecomおよびPhilippines Long Distance Telephoneは両社に700MHz帯の再割当を希望している。
また、Globe TelecomはLiberty Telecom Holdingsは財政面で700MHz帯の利用開始が困難な見込みであることも指摘している。
この要望に対して、National Telecommunications Commissionは受け入れが困難との見解を示しており、Liberty Telecom Holdingsはライセンス料を支払っていることなどを理由として挙げている。
なお、Liberty Telecom Holdingsが保有する700MHzは大半がwi-tribe Telecomsを通じて保有しているが、一部はLiberty Telecom Holdingsが出資するHigh Frequency Telecommunicationsを通じて保有する。
Liberty Telecom Holdings以外の企業としてはNew Century Telecomも700MHz帯を保有しており、こちらも未使用の状況が続いている。
ところが、2015年後半に入ってからSan Miguel Corporationが携帯電話事業に新規参入する計画が急浮上している。
これまでLiberty Telecom HoldingsにはカタールのOoredooグループのQ-Tel West Bay Holdings、同じくOoredooグループのWi-Tribe Asia、White Dawn Solution Holdingsが出資していたが、Liberty Telecom HoldingsはOoredooグループの2社およびWhite Dawn Solution Holdingsから株式を買収してLiberty Telecom Holdingsを100%子会社とした。
そして、San Miguel Corporationは豪州のTelstraと携帯電話サービスを提供するための合弁会社を設立する計画が報じられており、Liberty Telecom Holdingsが保有する周波数を活用する計画も伝えられている。
San Miguel Corporationグループが単独で携帯電話サービスを提供することは困難と見込まれていたが、Telstraが巨額の投資を計画していることも分かっている。
700MHz帯が未使用の状態は長期にわたって続いていたが、San Miguel Corporationが豪州の巨人と提携してフィリピンの携帯電話事業に参入する案が浮上し、それに危機感を覚えてGlobe TelecomとPhilippines Long Distance Telephoneが急に700MHz帯の回収を要望した可能性もある。
ただ、ライセンス料を支払っているとはいえ貴重な周波数が未使用となる状況は非常に勿体なく、個人的にはNational Telecommunications Commissionがライセンス交付時にサービス開始期限やカバレッジ要件を設けるべきであったと考える。
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