タイのdtac、タイ当局を相手取り提訴
- 2018年09月09日
- 海外携帯電話
タイの移動体通信事業者(MNO)でdtacブランドを展開するTotal Access Communicationはタイの政府機関で電気通信分野の規制を担う国家放送通信委員会(National Broadcasting Telecommunications Commission:NBTC)を相手取り中央行政裁判所に訴訟を提起したと発表した。
Total Access Communicationはタイの移動体通信事業者で国有企業のCAT Telecomとの借用契約に基づき850MHz帯と1.8GHz帯を利用しているが、2018年9月15日に借用契約の満期を迎える。
Total Access CommunicationとCAT Telecomの間では借用契約の延長で事実上の合意に達しており、2018年6月7日付けでTotal Access CommunicationとCAT Telecomが連名で借用契約を延長するよう国家放送通信委員会に文書を提出していた。
なお、1.8GHz帯はTotal Access Communicationの子会社でタイの移動体通信事業者であるdtac TriNetが2018年8月に開催された周波数オークションで落札に成功したため、借用契約の満期を迎えてもdtac TriNetがライセンスを受けた周波数として利用を継続できる。
しかし、850MHz帯は2018年9月16日より利用不可となるため、Total Access Communicationは顧客保護のために借用契約の延長を認めるよう国家放送通信委員会に要求していたが、国家放送通信委員会はTotal Access Communicationの要求を却下した。
そのため、Total Access Communicationは国家放送通信委員会の判断に対して前例になく顧客に取消不能な損害を引き起こすと非難し、850MHz帯について適切な条件で周波数オークションが完了するまで借用契約を延長するよう国家放送通信委員会を相手取り提訴するに至った。
Total Access Communicationと契約する顧客は90,000件程度で、さらにdtac TriNetと契約する顧客でも多くの顧客が850MHz帯を定期的に利用しているという。
Total Access Communicationとdtac TriNetの顧客にカバレッジを確保することは国家放送通信委員会、CAT Telecom、Total Access Communicationおよびdtac TriNetの共同責任で、法的義務でもあると主張している。
これまで、Total Access Communicationの競合他社は借用契約の終了後に9~26ヶ月間にわたり顧客保護として借用契約の延長を認められた実績があり、Total Access Communicationも同様の措置を期待したが、国家放送通信委員会は顧客保護の条件として900MHz帯の周波数オークションへの参加を突き付けた。
Total Access Communicationおよびdtac TriNetは900MHz帯を保有しておらず、900MHz帯を取得するならば新たに全土でネットワークを構築する必要があり、財務状況や入札条件も考慮して900MHz帯の周波数オークションへの参加は見送った。
900MHz帯は850MHz帯と同様にカバレッジの確保に有利な1GHz未満の周波数であるが、900MHz帯と850MHz帯では異なる通信設備が必要となり、タイ全土における数千にも達する850MHz帯の基地局で900MHz帯の運用を開始するためには24ヶ月程度も要する見込みで、場合によっては顧客側の端末を交換する必要も生じるため、Total Access Communicationおよびdtac TriNetとしては900MHz帯の取得は望んでいない。
また、900MHz帯の周波数オークションは参加者なしのため中止を余儀なくされたが、Total Access CommunicationおよびTotal Access Communicationは周波数オークションの条件がすべての移動体通信事業者にとって受け入れ難いため中止になったと主張し、850MHz帯の周波数オークションを適切な条件で行うよう求めている。
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