M1 Groupの創業者がレバノン新首相に、携帯通信事業で実績

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レバノンのM1 Groupの創業者がレバノンの新首相に就任した。

レバノンでは規定に基づき組閣のために首相と大統領が閣僚名簿に合意する必要があり、2021年9月10日にナジブ・ミカティ首相候補とミシェル・アウン大統領が閣僚名簿に合意したため、ナジブ・ミカティ首相が率いる新政権が発足することになった。

ハッサン・ディアブ前首相は2020年8月10日に内閣総辞職を表明し、それをミシェル・アウン大統領が受け入れてからは暫定政権が続いていた。

ミシェル・アウン大統領は2020年10月22日に首相候補としてサアド・ハリリ元首相を指名して組閣を要請したが、対立が激化して閣僚名簿に合意できず、2021年7月15日に組閣を断念して指名を辞退していた。

そこで、2021年7月26日に新たな首相候補としてナジブ・ミカティを指名して組閣を要請し、最終的には閣僚名簿に合意して組閣することができた。

ナジブ・ミカティは2005年4月19日から2005年7月19日と2011年6月13日から2014年2月15日の2度にわたり首相を務めており、3度目の登板となった。

また、約1年1ヶ月にも達した政治空白がようやく解消したことになる。

すでに経営の一線からは退いたが、ナジブ・ミカティ首相は兄弟で設立したレバノンのInvestcomおよびM1 Groupを通じて携帯通信分野で実績が豊富である。

まずは1982年に設立したInvestcomを通じて携帯通信事業に参入しており、レバノンではフランスの移動体通信事業者(MNO)であるOrangeと設立した合弁会社でレバノンの移動体通信事業者であるFrance Telecom Mobile Liban (FTML)を通じて携帯通信事業の免許を取得し、レバノンで2番目に携帯通信サービスを導入した。

FTMLは1994年12月30日にCellisとして携帯通信サービスを商用化しており、持分比率はOrangeが66.65%、Investcomが33.35%となっていた。

レバノン政府は2002年9月1日を効力発生日としてレバノンのすべての移動体通信事業者の資産を国有化し、免許付与制から管理契約制に移行することになった。

FTMLの資産はレバノン政府が国有の移動体通信事業者として設立したMobile Interim Company 1 (MIC1)に移管し、レバノン政府が選定する新たな管理者が決定するまではFTMLが暫定的にMIC1を管理していた。

2004年6月1日を効力発生日としてレバノンのFal Dete Telecommunications (FDT)がMIC1の管理権を承継したため、同時にFTMLおよびInvestcomはレバノンの携帯通信事業から撤退したことになる。

なお、FDTはCellisからAlfaに変更して携帯通信事業を展開してきたが、2008年12月初めに管理契約を解消してレバノンの政府機関で電気通信分野の規制を司る電気通信省(Ministry of Telecommunications：MoT)に管理権を移管し、2009年2月1日から再び電気通信省に管理権を移管した2020年9月7日まではレバノンのOrascom Telecom Lebanon (OTL)がMIC1の管理を担当した。

OTLの親会社はエジプトのOrascom Investment Holding (OIH)で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の移動体通信事業者でkoryolink (高麗網)として展開するCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)はOIHの関連会社である。

Investcomはレバノンの携帯通信事業からは撤退したが、2005年12月末までにシリア、イエメン、北部を除くキプロス、スーダン、ガーナ、ベナン、ギニアビサウ、リベリアで携帯通信事業を開始したほか、アフガニスタンおよびギニア(ギニア・コナクリ)では携帯通信事業の免許を取得して参入に向けた準備を進めていた。

ただ、2006年5月には南アフリカのMTN GroupがInvestcomを取得し、Investcomの創業者は主要な株主としてMTN Groupの経営に参画することになり、2007年にはM1 Groupを設立してMTN Groupの第2の株主となった。

M1 Groupは2021年7月8日にノルウェーのTelenorの完全子会社でミャンマー(ビルマ)の移動体通信事業者であるTelenor Myanmarの株式の全部を取得することでTelenorと合意した。

ミャンマー当局から承認の取得が必要であるが、M1 Groupはミャンマーの携帯通信事業に参入することになった。