HTCがミャンマー法人を閉鎖

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台湾のHTC Corporation (宏達国際電子)はミャンマー(ビルマ)で設立した現地法人を閉鎖したことが分かった。

HTC Corporationはミャンマーの最大都市・ヤンゴン市で現地法人としてHTC Myanmarを設立し、ミャンマーでスマートフォンを展開してきたが、2021年4月25日に開催した株主総会ではHTC Myanmarの解散を承認しており、2021年11月24日にはHTC Myanmarの清算を完了したという。

ミャンマーでは2021年2月1日に発生した政変に伴い事業環境が一変し、多くの国際的な企業がミャンマーから撤退しているが、HTC Corporationの場合はスマートフォン事業の不振を受けてミャンマーでは政変前からスマートフォン事業を実質的に停止していた。

2021年にはベトナム、ルクセンブルク、ブラジルでも現地法人を閉鎖したため、HTC Myanmarの閉鎖はミャンマー情勢の影響ではない。

HTC Corporationはミャンマーに最も早く参入した携帯端末メーカーのひとつで、2013年1月14日に6機種のスマートフォンを発売した。

当時のミャンマーは携帯電話の普及率が10%未満と世界で最も低い国のひとつで、多くの携帯端末メーカーは参入に慎重な姿勢を示したが、当時のHTC Corporationはミャンマー出身の周永明(英語名：ピーター・チョウ、ビルマ語名：ウィン・タン)が執行長(CEO)を務め、ミャンマー時代の学友が会長兼CEOを務める代理店と提携してスマートフォンを展開することになった。

参入時のミャンマーではSIMカードの販売価格が邦貨換算額で数十万円から数万円まで下落したが、それでも高価で、ようやく2013年4月24日に人気が低いCDMA2000方式を利用できるCDMA SIMは200,000ミャンマーチャット(約13,700円)から1,500ミャンマーチャット(約100円)まで値下げした。

HTC CorporationはCDMA2000方式に対応したスマートフォンも販売し、ミャンマー企業以外ではCDMA2000方式に対応したスマートフォンを展開する最初の企業となったが、SIMカードの販売方式は抽選方式から変更なく、SIMカード入手困難かつスマートフォンが売れない環境に変わりなかった。

そんなミャンマーの携帯通信市場であるが、ミャンマー政府が市場開放を決定して外国資本の移動体通信事業者(MNO)が参入したことで大きな変化を遂げた。

2013年8月15日には外国資本の移動体通信事業者が参入して1,500ミャンマーチャットでGSM方式とGSM方式の発展方式に対応したGSM SIMを発売し、既存の移動体通信事業者は2014年9月1日から抽選方式を廃止し、すべてのSIMカードが1,500ミャンマーチャットとなった。

市場開放に伴い2014年以降は多くの携帯端末メーカーがミャンマーに参入し、2017年には携帯電話の普及率が100%を超えるほど急成長したが、一方でHTC Corporationはグローバルにおける状況と同様に存在感を失った。

HTC Corporationはスマートフォン事業を主力事業として展開していたが、2013年から2014年頃にはミャンマーで事業規模の拡大に向けて移動体通信事業者として行う携帯通信事業に参入する機会も模索していた。

日本のMarubeni Corporation (丸紅)とフランスの移動体通信事業者であるOrangeのコンソーシアムに台湾の移動体通信事業者であるChunghwa Telecom (中華電信)とともに参加し、ミャンマーの移動体通信事業者であるミャンマー国営郵便・電気通信事業体(Myanma Posts and Telecommunications：以下、MPT)と提携を目指した。

最終的にMPTは日本の移動体通信事業者であるKDDIと日本のSumitomo Corporation (住友商事)を提携企業に選定したため、HTC Corporationなどが参加したコンソーシアムは携帯通信事業に参入できなかった。

HTC Corporationとしてはミャンマーで事業を完全に終了したことになる。