iPhone 14シリーズは衛星経由の携帯通信に対応か、通信モデムは対応可能

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米国(アメリカ)のAppleが発表するiPhone 14シリーズのスマートフォンは低軌道衛星を経由した携帯通信に対応するとの情報が複数の報道機関で伝えられている。

Appleは2022年9月7日の10時(太平洋夏時間)、日本標準時では2022年9月8日の2時よりApple Eventとして発表会を開催する。

時期を考慮するとiPhone 14シリーズの発表が確実で、新機能のひとつとして米国のGlobalstarと提携して低軌道衛星を経由した携帯通信に対応するとの予測がある。

Appleが公開した招待状は宇宙を連想するデザインであるため、衛星に関した発表を期待させる要因のひとつとなっている。

Globalstarは低軌道上の通信衛星から携帯通信網を構築する技術の実用化に向けて取り組んでおり、サービスリンクの周波数はGlobalstarが使用する周波数のひとつでSバンドの2.4GHz帯を使用する計画で、詳細な周波数範囲はTDDの2843.5～2495MHzとなる。

すでに標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)ではGlobalstarの2.4GHz帯で第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式および第5世代移動通信システム(5G)のNR方式を導入できるようバンドを定義している。

バンド番号は53で、LTE方式の場合はB53、NR方式の場合はFR1のn53となるため、Globalstarが低軌道衛星から構築する携帯通信網はB53もしくはn53として運用することになる。

Globalstarは米国のQualcomm Technologiesが開発した通信モデムであるSnapdragon X65 5G Modem-RF Systemがn53に対応したことを発表しており、B53には言及していないが、同時にB53にも対応したと思われる。

AppleはQualcomm Technologiesと特許を巡り対立していたが、2019年4月16日には全面的に和解し、再びQualcomm Technologies製のSnapdragonシリーズの通信モデムを採用することになった。

和解の条件には一部の機種を除いて2020年6月1日から2021年5月31日に発売する新製品ではSnapdragon X55 5G Modem-RF System、2021年6月1日から2022年5月31日に発売する新製品ではSnapdragon X60 5G Modem-RF System、2022年6月1日から2024年5月31日に発売する新製品ではSnapdragon X65 5G Modem-RF SystemもしくはSnapdragon X70 Modem-RF Systemを採用することなどが含まれる模様である。

2020年10月23日と2020年11月13日に発売したiPhone 12シリーズではSnapdragon X55 5G Modem-RF System、2021年9月24日に発売したiPhone 13シリーズではSnapdragon X60 5G Modem-RF Systemを採用したため、実際に和解の条件と一致する。

iPhone 14シリーズではSnapdragon X65 5G Modem-RF SystemもしくはSnapdragon X70 Modem-RF Systemを採用することになるが、Snapdragon X70 Modem-RF Systemを採用したスマートフォンは2022年の終わり頃に製品化される見込みであるため、現実的にはSnapdragon X65 5G Modem-RF Systemを採用すると思われる。

製品として対応するためには通信モデム以外にアンテナなどのハードウェアやソフトウェアの両方で実装が必要となるが、Snapdragon X65 5G Modem-RF Systemを採用する場合はn53やB53に対応するための通信モデムの条件は満たすことになる。

2022年8月25日にはSpaceXとして事業を行う米国のSpace Exploration Technologiesが米国のT-Mobile USと低軌道衛星から携帯通信網を構築する技術の実用化に向けた提携を発表したが、Appleの計画を念頭に発表したとの見方もある。

新製品の新機能は2022年9月7日に発表することになるため、正式な発表を待ちたいところである。