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イラク政府が携帯電話事業者に本社移転を要求、クルド人自治区からバグダッドへ



イラク中央政府はイラクの携帯電話事業者に本社機能をクルド人自治区からイラクの首都・バグダッドへ移転するよう要求したことが外国メディアの報道で分かった。

イラクのクルド人自治区では2017年9月25日にイラクからの独立の是非を問う住民投票が行われ、独立賛成が全投票数の約92.73%と圧倒的多数を占めた。

当初よりイラク中央政府や近隣諸国は住民投票の実施に反対の姿勢を示していたが、それにも関わらずクルド自治政府は住民投票を強行しており、住民投票を実施後にイラク中央政府は報復としてクルド人自治区に対する制裁を発動した。

制裁にはクルド人自治区内の国際空港における国際線の発着を禁止、クルド人自治区への外貨送金を禁止などが含まれ、さらには国境封鎖や原油輸出に関する制裁も示唆している。

イラク中央政府とクルド自治政府は対立が激化しているが、その中でイラク中央政府の国家安全保障委員会はすべての携帯電話網をイラク中央政府の管理下とする必要があるとして、本社機能をクルド人自治区からバグダッドに移転させるべきとの決定を下したという。

イラク全土で携帯電話事業のライセンスを保有する企業はKorek Telecom、Asiacell Communications、Zainブランドを展開するAtheer Telecommunications Iraqの3社で、このうちKorek TelecomとAsiacell Communicationsの2社は本社機能がクルド人自治区内にある。

具体的には、Korek Telecomがクルド人自治区の首都・アルビル、Asiacell Communicationsがクルド人自治区で第2の都市・スレイマニヤに本社を置き、一方でAtheer Telecommunications Iraqのみ本社機能をバグダッドに設置している。

なお、Atheer Telecommunications Iraqの登記上の本店所在地は英領ケイマン諸島である。

イラク中央政府の指示に従わない場合、携帯電話事業のライセンスを剥奪される可能性があるという。

イラクの携帯電話市場は加入件数ベースの占有率でAsiacell CommunicationsとAtheer Telecommunications Iraqがそれぞれ40%前後、Korek Telecomが20%弱となっている。

イラク中央政府としてはKorek TelecomとAsiacell Communicationsの本社機能をバグダッドに移転させることで、クルド人自治区内の通信記録の収集などイラク中央政府による監視を強める狙いがあると思われる。

REUTERS

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