北朝鮮の逓信省を情報産業省に再編、携帯通信分野など所管
- 2021年09月15日
- DPRK
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の政府機関である逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)を情報産業省(Ministry of Information and Communications Technology Industry:MICTI)に再編したことが分かった。
北朝鮮当局は国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)に登録する電気通信分野の規制当局の変更に係る届出を行い、電気通信分野の規制当局をMinistry of Posts and Telecommunications, PYONGYANGからMinistry of Information and Communications Technology Industry (MICTI), PYONGYANGに変更した。
所在地は引き続き北朝鮮の首都・平壌直轄市で、組織の分類は管理者および規制者で変わりない。
これまでに、北朝鮮の労働新聞が報道で情報産業省に言及しており、北朝鮮政府は情報産業省を設置したことが判明していた。
労働新聞では2021年5月17日に情報産業省が最初に登場したが、一方で逓信省は2021年4月15日を最後に登場していない。
また、逓信省情報通信研究所は情報産業省の発足後に情報産業省情報通信研究所として報道に登場したため、少なくとも情報通信研究所の所管が逓信省から情報産業省に変更したことは決定的となっていた。
新たに国際電気通信連合に提出した情報から電気通信分野の規制当局を逓信省から情報産業省に変更した事実が確定したため、2021年4月16日から2021年5月17日までの期間に逓信省を廃止するとともに、逓信省の機能を新たに設置した情報産業省が承継したと考えられる。
情報産業省は朝鮮語の名称が정보산업성であることは確定していたが、英語の名称はMinistry of Information and Communications Technology Industryで、英語の略称はMICTIで確定した。
なお、北朝鮮は1975年9月24日付けで国際電気通信連合に加盟しており、国符号はKREである。
北朝鮮政府は1948年9月2日に逓信省を設置し、業務の一時停止および再開を経て1967年12月28日には交通省と統合して交通逓信委員会に改組したが、1977年12月15日には再び逓信省となった。
1977年12月15日以降は約43年半にわたり逓信省として業務を継続してきたが、2021年6月30日に終了した3ヶ月間となる2021年第2四半期には情報産業省に再編した。
逓信省は携帯通信分野を含む電気通信分野など所管していたため、携帯通信分野の行政機能は情報産業省が承継したことになる。
情報産業省が発足後も報道には平安北道逓信管理局、慈江道逓信管理局、黄海北道逓信管理局、江原道逓信管理局、咸鏡南道逓信管理局、咸鏡北道逓信管理局、両江道逓信管理局が登場しており、各道の逓信管理局は携帯通信分野を含む逓信部門を管理する政府機関として名称および機能を維持していることが分かる。
逓信省が完全所有していた国営のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:KPTC)も情報産業省が権利義務を承継したと考えられる。
Korea Posts and Telecommunications Corporationは移動体通信事業者(MNO)として携帯通信事業も展開しており、KANGSONG NET (強盛網)を運営する。
北朝鮮の移動体通信事業者でkoryolink (高麗網)を運営するCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)にも出資しており、持分比率は25%となっている。
北朝鮮政府は科学技術強国の建設を目標に掲げており、優秀な情報通信技術(ICT)の研究者を優遇して研究開発を推進するなど情報通信技術の発展と経済への貢献を目指している。
目標を達成するために組織の再編を決定し、逓信省から情報産業省に再編したと考えられる。
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