EUでローミング料金を原則撤廃するRoam like at Homeを導入、プリペイドSIMも対象
- 2017年06月18日
- 海外携帯電話
欧州連合(European Union:EU)域内の携帯電話事業者各社は2017年6月15日よりローミング料金を撤廃した。
欧州連合ではデジタル単一市場を推進しているが、ローミング料金の存在はデジタル単一市場を実現するにあたり障壁とされており、2007年よりローミング料金の削減に努めてきた。
そして、2017年6月15日からはローミング料金を撤廃する制度としてRoam like at Homeを導入した。
Roam like at Homeの導入により、Roam like at Homeの対象国の携帯電話事業者で契約した回線であれば、どの対象国でもローミング料金が追加で徴収されることなく、自国と同じ料金で音声通話、SMS、データ通信を利用できる。
例えば、対象国Bの携帯電話事業者で契約した回線は対象国B以外の対象国で利用しても対象国Bと同じ料金となる。
もし、対象国Bで契約したデータ通信のプランが無制限であれば、原則として対象国B以外の対象国でも対象国Bの条件が適用される。
ただ、データ通信に関しては悪用される懸念が強いことから、ローミング料金を徴収することも認められる。
徴収できるローミング料金は上限が設定されており、Roam like at Homeの導入当初は1GBあたり7.7ユーロ(約960円)で、段階的に引き下げて2022年には2.5ユーロ(約310円)とする計画である。
Roam like at Homeは欧州連合の加盟国である28ヶ国で最初に導入し、さらに欧州連合には加盟していないが、欧州経済領域とされるアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーも対象国に追加される予定としている。
また、ローミング料金の撤廃が悪用される可能性を想定し、対策も盛り込まれている。
悪用の例としては、料金は安いが自国ではない対象国Rの回線を調達して料金が高い対象国Lで使い続ける場合、対象国Rの回線を調達してほかの対象国に向けて転売する場合などが考えられるが、悪用と判断されるとあらかじめ設定されたローミング料金が徴収される。
悪用か否かの判断は回線を契約した携帯電話事業者に委ねられることになり、直近4ヶ月以上の利用状況を追跡して判断する。
自国以外での利用が多いと判断された場合、携帯電話事業者は契約者にローミング料金が発生する可能性があることを通知し、通知から2週間以内に自国で利用すればローミング料金は発生しない。
なお、Roam like at Homeでは自国の定義を居住国または関係深い国としており、一般的な居住国のほかに業務や留学などで頻繁に滞在もしくは長期滞在する国も自国として認められる。
Roam like at Homeの対象となる回線はポストペイド契約とプリペイド契約の両方で、渡航時にプリペイドSIMカードを購入した場合も適用される。
短期的な旅行でプリペイドSIMカードを購入した場合、ほかの対象国で長期滞在することがなければ、悪用と判断されることはないと解釈できる。
ほかに、携帯電話のレンタルサービスなどで対象国の回線を用いている場合、当然ながらRoam like at Homeの対象である。
欧州連合域内におけるローミング料金の撤廃は、1995年の国境検問撤廃、2002年の共通通貨導入のように、欧州連合域内の統合を強めるマイルストーンとなる。
より詳細なRoam like at Homeの規則などに関しては、欧州連合の公式ウェブサイトにおいて多言語で公開されている。
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