レバノン議会委員会、携帯電話事業者の管理契約終了と国家管理化を勧告

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レバノンの立法府であるレバノン国民議会(The Lebanese Parliament)の議会委員会であるメディア通信委員会(Media and Communications Committee)は移動体通信事業者(MNO)の管理契約の終了および国家管理化を勧告したことが分かった。

レバノン国営メディアによって伝えられており、メディア通信委員会は2019年12月31日に議会を招集し、メディア通信委員会の委員およびレバノンの政府機関で電気通信分野の規制を司る電気通信省(Ministry of Telecommunications)から電気通信暫定大臣が出席して移動体通信事業者の管理契約に関して議論を交わした。

議論の結果、全会一致で移動体通信事業者の管理契約を延長しないことで合意したという。

また、60日以内に移動体通信事業者を国家の管理下にするための措置を開始することも勧告している。

レバノンの移動体通信事業者はAlfaブランドを展開するMobile Interim Company 1 (MIC1)およびtouchブランドを展開するMobile interim company no.2 (MIC2)の2社で、いずれも国有企業である。

レバノンでは電気通信省が国有企業の移動体通信事業者を管理する企業を入札で選定し、選定された企業が移動体通信事業者を管理する特殊な形態となっている。

Mobile Interim Company 1はエジプトのOrascom Investment Holdingが子会社でレバノンのOrascom Telecom Lebanon、Mobile interim company no.2はZainブランドの所有者として中東で広く知られるクウェートのMobile Telecommunications Companyの完全子会社でレバノンのMobile Telecommunications Company Lebanon (MTC)が管理するため、Mobile Interim Company 1はAlfa Managed by Orascom Telecom、Mobile interim company no.2はtouch Managed by Zainとして展開している。

電気通信省は2015年12月31日に管理契約の満期を迎えるまでに入札の実施を試みたが、最終的に参加者は2社しか集まらず、中止を余儀なくされた。

参加者に準備するための十分な時間を与え、より多くの参加者を募るとして実施を延期していたが、それでもレバノンが魅力的でないことに加えて、電気通信省が定めた条件が厳しく、当初に参加を表明した企業の半数以上は最終的に参加を見合わせた。

2016年1月1日以降は既存の管理者であるOrascom Telecom LebanonおよびMobile Telecommunications Company Lebanon (MTC)と管理契約の延長を繰り返しており、2019年12月31日に管理契約の満期を迎えた。

レバノンは競争環境の整備が進まず、携帯電話料金が高止まりしており、レバノン国民に不満を与えている状況にある。

レバノンで最初の移動体通信事業者が発足時は国有ではなく民営で運用していたが、電気通信省と移動体通信事業者の間で生じた問題からレバノン政府が国有化し、レバノン政府の所有下で民間企業の資本や技術を取り入れる管理契約の形態に移行した。

完全な民営化は数度にわたり検討されたが、政情不安が続くレバノンでは情勢の悪化、有力な関心表明者の不足に起因する電気通信省が期待した条件の未達などで計画は流れ、民営化の検討を開始してから17年以上が経過しても実現できていない。

2019年10月以降はレバノン危機と呼ばれるように、VoIPサービスへの課税に対する抗議を発端としてレバノン国民のレバノン政府への反発が高まっており、レバノン政府も電気通信分野の改革は必要と認識している。

Mobile Interim Company 1およびMobile interim company no. 2を国家の管理下に移行した場合、完全な民営化に関しても議論される見込み。

NNA