Vodafone AustraliaとTPG Telecomの合併は7月13日に、シンガポールMNOは分離
- 2020年05月22日
- 海外携帯電話
豪州の移動体通信事業者(MNO)でVodafone Australiaとして展開するVodafone Hutchison Australiaと豪州のTPG Telecom Limited (以下、TPG Australia)は2020年7月13日に合併を完了する予定であることを明らかにした。
Vodafone Hutchison AustraliaはTPG Australiaの株式の全部を取得して統合し、Vodafone Hutchison Australiaは社名をTPG Telecom Limited (以下、新TPG)に変更して合併の手続きを完了する予定という。
新TPGに対する持分比率は50.1%がVodafone Hutchison Australiaの既存の所有者、49.9%がTPG Australiaの既存の所有者となる。
なお、Vodafone Hutchison Australiaは英国のVodafone Groupと香港特別行政区を拠点とする英領ケイマン諸島のCK Hutchison Holdings (長江和記実業)の子会社で豪州のHutchison Telecommunications (Australia)との折半出資合弁会社である。
Hutchison Telecommunications (Australia)に対するCK Hutchison Holdingsの持分比率は87.87%であるため、新TPGに対する持分比率はVodafone Groupが25.05%、CK Hutchison Holdingsが22.01%となることが分かる。
TPG Australiaは完全子会社でシンガポールのTPG Telecom Pte. Ltd. (以下、TPG Singapore)がシンガポールで第4の移動体通信事業者として新規参入を果たし、シンガポールで移動体通信事業を展開しているが、新TPGはTPG Singaporeを承継しない。
TPG Australiaの既存の所有者が持つ予定の豪州で新設したTuasがTPG Singaporeを承継するため、TPG SingaporeはVodafone Hutchison AustraliaとTPG Australiaの合併に伴いTPG Australiaから分離する。
Vodafone Hutchison AustraliaとTPG Australiaは2018年8月30日に合併の計画を発表しており、一度は豪州の豪州競争消費者委員会(Australian Competition and Consumer Commission:ACCC)が合併の計画を却下したが、その後に必要な関係当局の承認をすべて取得し、ようやく合併が完了することになる。
新TPGとTuasはそれぞれ豪州証券取引所に上場する予定で、銘柄コードは新TPGがTPG、TuasがTUAとなる。
Vodafone Hutchison Australiaは豪州で第3の移動体通信事業者で、TPG Australiaは完全子会社のTPG Internetを通じて豪州で第4の移動体通信事業者として参入する目的で周波数を取得し、中国のHuawei Technologies (華為技術)より基地局を調達して通信網の整備を進めていたが、豪州政府が第5世代移動通信システム(5G)の基地局で中国企業を排除したことを理由に、TPG Internetは新規参入を断念した。
ただ、Huawei Technologiesの件は建前上の理由で、実際はVodafone Hutchison AustraliaとTPG Australiaが合併で合意に達したため、新規に通信網を整備する必要がなくなり、新規参入を中止した可能性が高い。
いずれにせよ、TPG Internetが移動体通信事業者として新規参入する可能性は完全に消滅している。
Vodafone Hutchison AustraliaとTPG Australiaが合併で合意してからはVodafone Hutchison AustraliaとTPG Australiaの折半出資合弁会社であるMobile JVを通じて周波数を取得している。
また、TPG Singaporeは日本で移動体通信事業者として新規参入したRakuten Mobile (楽天モバイル)より第5世代移動通信システム(5G)技術の提供を受けることでRakuten Mobileと合意していたが、5G向け周波数を取得できなかった。
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