北朝鮮の情報産業省、逓信省に加えて電子工業省と国家情報化局も統合

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朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の政府機関である情報産業省(Ministry of Information and Communications Technology Industry：MICTI)は逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications：MPT)に加えて電子工業省(Ministry of Electronics Industry：MEI)および国家情報化局も統合したことが分かった。

北朝鮮の労働新聞(Rodong Sinmun)は電子自動化設計研究所創立 50年 記念報告会を2021年11月30日に開催したことを2021年12月1日付けで報道しており、情報産業相の朱勇日(チュ・ヨンイル)氏や情報産業省 電子工業管理局局長の金才成(キム・ジェソン)氏などが参加したと伝えた。

朱勇日氏は2021年1月17日に開催した最高人民会議第14期第4次会議で逓信相に任命されており、逓信省の大臣が情報産業省の大臣に就任したことになる。

すでに情報産業省は逓信省の業務を承継した政府機関であることが確定しているため、大臣は事実上の留任と表現できる。

これまでに、国際電気通信連合(International Telecommunication Union：ITU)に登録する電気通信分野の規制当局を逓信省から情報産業省に変更、情報通信研究所を逓信省から情報産業省に移管、逓信省の紋章を情報産業省が承継したため、情報産業省が逓信省の後継の政府機関であることは確実である。

電子自動化設計研究所に関しては2020年1月3日付けの報道で電子工業省 電子自動化設計研究所、2020年3月1日付けの報道でも電子工業省が管轄する組織として伝えられた。

ただ、2021年12月1日付けの報道では情報産業省が管轄する組織として登場しており、創立50年を祝賀する記念報告会では電子工業省ではなく情報産業省の幹部が出席したため、電子自動化設計研究所を電子工業省から情報産業省に移管したことが分かる。

金才成氏は2019年4月11日に開催した最高人民会議第14期第1次会議で電子工業相に任命されたが、2021年12月1日付けの報道では情報産業省 電子工業管理局局長として紹介されている。

労働新聞では2020年3月7日付けの報道を最後に電子工業省が登場していないため、電子工業省を情報産業省 電子工業管理局に再編し、電子工業省の長が電子工業管理局の長を引き受けたと推測できる。

また、国家情報化局も2021年4月30日付けの報道を最後に登場しておらず、2020年11月17日付けの報道で言及された国家情報化局 中央情報化研究所は2021年11月24日付けの報道で情報産業省 情報化局 中央情報化研究所として登場した。

情報産業省 情報化局としては2021年11月6日に初めて報道で登場したほか、北朝鮮の朝鮮中央テレビジョン(Korean Central Television：KCTV)の放送では過去に国家情報化局の施設として登場した建物が2021年11月13日に情報産業省の施設として紹介されたことも分かっている。

したがって、北朝鮮政府は逓信省に加えて電子工業省および国家情報化局も廃止し、新たに設置した情報産業省に統合したと考えられる。

逓信省、電子工業省、国家情報化局が管轄した部門はそれぞれ情報産業省の逓信管理局、電子工業管理局、情報化局が管轄することになる。

なお、携帯通信関連の業務を担当する逓信管理局は道逓信管理局として道級行政区画ごとに業務を分担しており、例えば首都・平壌直轄市の場合は平壌市逓信管理局、黄海北道の場合は黄海北道逓信管理局が業務を担当する。

労働新聞の報道で最後に登場した年月日は逓信省が2021年4月15日、電子工業省が2020年3月7日、国家情報化局が2021年4月30日である。

一方で情報産業省は2021年5月17日に初めて登場した。

そのため、2021年5月1日から2021年5月17日までに逓信省、電子工業省、国家情報化局の機能を集約して情報産業省として業務を開始したと思われる。