グアムでDOCOMO PACIFICの5Gを試す、マリアナ諸島で唯一の5G
- 2022年10月10日
- Report
NTT DOCOMOの完全子会社で米領グアムの移動体通信事業者(MNO)であるDOCOMO PACIFICのプリペイドSIMカードで第5世代移動通信システム(5G)を試したため紹介する。
DOCOMO PACIFICのプリペイドプランとしてはEndless FlexとMulti-Day Flex Planを用意しており、いずれも5Gを利用できる。
Endless Flexは1日あたりの料金が2.5米ドル(約360円)で、データ通信容量に制限を設けていないが、通信速度は深夜を除いて5Mbps前後に制限している。
Multi-Day Flex PlanはFlex 3 (Guam)が3日間で3GB、Flex 7が7日間で7GB、Flex 14が15日間で14GBとデータ通信容量に制限があるが、通信速度に制限は設定していない。
料金はFlex 3 (Guam)が7.5米ドル(約1,090円)、Flex 7が15米ドル(約2,180円)、Flex 14が30米ドル(約4,360円)である。
通信環境が良好な場所で通信速度を測定すると、下り250Mbps前後、上り40Mbps前後を記録し、Endless Flexと比較して大幅な高速通信が可能となる。
第4世代移動通信システム(4G)では下り60Mbps前後、上り10Mbps前後を記録したため、5Gでは4Gと比較して約4倍の高速通信を利用できた。
なお、DOCOMO PACIFICはデータ通信をLTE Dataと案内するが、実際は4GのLTE方式に限らず、第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式と5GのNR方式も利用できるため、LTEの表記は無視して問題ない。
DOCOMO PACIFICの販売店ではプランの申し込みなど必要な手続きを完了した状態でプリペイドSIMカードを受け取れるため、あらかじめ用途に応じて必要な通信速度を判断およびプランを決定後に販売店を訪問し、プランを指定して申し込むと円滑に購入できる。
プリペイドSIMカードの購入に本人確認書類の提示は必要ないが、使用するスマートフォンの動作確認を求められる場合がある。
SIMカードのサイズはMini SIM (2FF)、Micro SIM (3FF)、Nano SIM (4FF)のトリプルカットで、APNの設定が必要な場合はAPNの名前にdocomo、APNにinternetと入力すると問題ない。
通信方式と周波数はNR方式がFR1のn41、LTE方式がB4/B66、B12/B17、B71、W-CDMA方式がVで、B4/B66とB12/B17はMFBI (Multiple Frequency Band Indicator)を適用している。
帯域幅と搬送波はn41が40MHz幅を1搬送波、B4/B66が10MHz幅*2を2搬送波、B12/B17が5MHz幅*2を1搬送波、B71が20MHz幅*2を1搬送波、Vが5MHz幅*2を2搬送波で運用することを確認できた。
NR方式はLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成のOption 3で運用しており、アンカーバンドとして機能するLTE方式に常時接続が必要で、E-UTRA-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)を適用してNR方式とLTE方式で同時通信する。
B66がアンカーバンドとして機能するため、EN-DCの組み合わせはDC_66A_n41Aである。
EN-DCの組み合わせとしてはDC_4A_n41Aも定義されているが、アンカーバンドがB4ではn41は1搬送波に限られる。
DOCOMO PACIFICはn41を導入できる2.5GHz帯を追加取得しており、将来的に帯域幅を拡張してDC_66A_n41CもしくはDC_66A_n41(2A)の導入も想定してアンカーバンドをB66に設定したと考えられる。
DOCOMO PACIFICの5Gの公式な対応機種である米国(アメリカ)のApple製のiPhone 13 Pro (A2636)に加えて、台湾のASUSTeK Computer (華碩電脳)製のSmartphone for Snapdragon Insiders (ASUS_I007D)でもDOCOMO PACIFICのn41を利用できた。
DOCOMO PACIFICはグアムに登記上の本店が所在するグアム法人で、グアムのほかに米自治領北マリアナ諸島自治連邦区でも携帯通信事業を行うが、料金や周波数の情報はグアムに関して記載しており、異なる地域である北マリアナ諸島には適用できない。
5Gのエリアはグアム島中部の西側に多く、グアムの首都・ハガッニャ村(ハガニア村)からタムニング村(タムニング村)とその周辺では特に充実している。
DOCOMO PACIFICはグアムと北マリアナ諸島で構成するマリアナ諸島で唯一の5Gを商用化した移動体通信事業者である。
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