比大統領がSmartとGlobeに携帯電話サービスの改善を要求、閉鎖や接収も示唆
- 2020年07月29日
- 海外携帯電話
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は同国の移動体通信事業者(MNO)であるSmart CommunicationsおよびGlobe Telecomに対して携帯通信サービスの改善を要求したことが分かった。
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は2020年7月27日にフィリピンのマニラ首都圏ケソン市に所在する下院議事堂で施政方針演説を行い、2020年12月までに携帯通信サービスの改善を要求した。
施政方針演説では「(前略) フィリピンの人々は忍耐が限界に達していることを心に留めてください。私はフィリピンの人々の怒りを明確にする人になります。 (中略) (2020年)12月までに(携帯通信)サービスを改善してください。 (中略) もし、改善できないならば、私はあなた達(移動体通信事業者)のすべてを閉鎖するかもしれないし、政府が取り上げるかもしれません。」と述べた。
施政方針演説では特定の通信事業者の名指しは避けており、携帯通信サービスや固定通信サービスなどの種別も言及していないが、フィリピン政府の公式ウェブサイトではSmart CommunicationsおよびGlobe Telecomに改善を要求したと明確化しているため、移動体通信事業者のSmart CommunicationsおよびGlobe Telecomを指したことが分かっている。
2020年12月までに携帯通信サービスを改善できなければ、Smart CommunicationsやGlobe Telecomの閉鎖または接収を示唆したことになる。
また、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は「今後の2年間、議員と協力してフィリピンにおける電気通信サービス(主に携帯通信サービス)を改善するでしょう。」と述べており、任期が満了する2022年6月まで携帯通信サービスの改善に努める方針を示した。
フィリピンでは一部のエリアを除いて携帯通信サービスの整備が不十分で、料金は比較的高額とされている。
フィリピン全土を営業の対象区域とする移動体通信事業者はSmart CommunicationsとGlobe Telecomの2社で、適切な競争環境を整備して品質の向上や料金の低廉化を実現するためには、Smart CommunicationsとGlobe Telecomの複占状態を終了する必要があるとの考え方から、ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は第3の移動体通信事業者の新規参入を公約に掲げてきた。
フィリピンの政府機関で電気通信分野の規制を司る情報通信技術省(Department of Information and Communications Technology:DICT)の附属機関である国家電気通信委員会(National Telecommunications Commission:NTC)が主導して第3の移動体通信事業者の選定を行い、Dito Telecommunityが第3の移動体通信事業者として新規参入することになった。
Dito Telecommunityは行動制限の影響で基地局の整備が遅れているが、2021年3月末までに移動体通信事業者として携帯通信サービスを商用化する計画である。
なお、Smart CommunicationsはフィリピンのPLDTの完全子会社で、PLDTの移動体通信事業を担当する部門として機能する。
PLDTには日本のNTT DOCOMO、Globe TelecomにはSingtelとして展開するシンガポールのSingapore Telecommunications、Dito TelecommunityにはChina Telecom (中国電信)として展開する中国のChina Telecommunications (中国電信集団)が資本参加している。
Globe Telecomは中国のHuawei Technologies (華為技術)の基地局を使用して東南アジアでは初めて第5世代移動通信システム(5G)を商用化したが、5Gは固定通信用途で提供エリアは数ヶ所に限定されている。
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