米Sprint、5Gの停波を完了
- 2020年07月09日
- 海外携帯電話
米国の移動体通信事業者(MNO)であるSprintは第5世代移動通信システム(5G)のNR方式のネットワークを停波したことが分かった。
Sprintは公式ウェブサイトに韓国のLG Electronics製のLG V50 ThinQ 5G、中国のOnePlus Technology (Shenzhen) (深圳市万普拉斯科技)製のOnePlus 7 Pro 5G、韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)製のSamsung Galaxy S10 5Gを利用する顧客に対して通知を掲載し、5Gサービスの提供の終了およびアップグレードに関して案内している。
Sprintは米国のT-Mobile USと2020年4月1日に合併を完了しており、それを受けてSprintがNR方式で使用する2.5GHz帯をT-Mobile USの完全子会社で米国の移動体通信事業者であるT-Mobile USAがNR方式で使用できるよう周波数の再編に着手した。
NR方式は第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成を採用し、NR方式で通信するためにはアンカーバンドとして機能するLTE方式への常時接続が前提となり、E-UTRA-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)が動作してNR方式とLTE方式を同時通信できる。
T-Mobile USAが2.5GHz帯でNR方式を導入するためには、T-Mobile USAが運用するLTE方式と連動する必要があることから、Sprintが開設した基地局を使用することはできず、T-Mobile USAが新たに基地局を開設する必要があり、SprintのNR方式は運用を終了することになった。
T-Mobile USはSprintをT-Mobile USAに統合する方針で、Sprintの顧客にはT-Mobile USAが提供する5Gサービスへのアクセスを認めているが、Sprintが早期に発売したLG V50 ThinQ 5G、OnePlus 7 Pro 5G、Samsung Galaxy S10 5Gは設計上の都合からT-Mobile USAの5Gサービスに対応できない。
NSA構成に準拠した5Gサービスを利用するためには、端末側は特定のNR BandとLTE Bandに加えて特定のEN-DCの組み合わせにも対応する必要があり、SprintもT-Mobile USAも2.5GHz帯で採用したNR BandはFR1のn41で共通となるが、アンカーバンドのLTE Bandが異なるため、EN-DCの組み合わせも異なることになる。
Sprintが早期に発売したLG V50 ThinQ 5G、OnePlus 7 Pro 5G、Samsung Galaxy S10 5GはSprintが運用するEN-DCの組み合わせに対応するよう設計していたため、Sprintが5Gサービスを終了後にT-Mobile USAの5Gサービスは利用できない事象が発生した。
そのため、LG V50 ThinQ 5G、OnePlus 7 Pro 5G、Samsung Galaxy S10 5Gを利用する顧客に対しては、T-Mobile USAの5Gサービスを利用できるLG Electronics製のLG V50 ThinQ 5G、OnePlus Technology (Shenzhen)製のOnePlus 8 5G、Samsung Electronics製のSamsung Galaxy S20 5G、Samsung Galaxy S20+ 5G、Samsung Galaxy S20 Ultra 5G、Samsung Galaxy A71 5Gにアップグレードできる選択肢を提示している。
なお、Sprintは2019年5月31日にTrue Mobile 5Gとして5Gサービスを商用化し、当初はジョージア州アトランタ、テキサス州ダラス・フォートワース複合都市圏、テキサス州ヒューストン、ミズーリ州カンザスシティを提供エリアとしていた。
2019年7月11日にはイリノイ州シカゴ、2019年8月27日にカリフォルニア州ロサンゼルス、ニューヨーク州ニューヨーク市、アリゾナ州フェニックス、首都・ワシントンD.C.も提供エリアに追加したが、2019年9月以降は提供エリアを拡大していなかった。
NR方式のネットワークの停波は2020年5月5日より開始しており、2020年5月5日からニューヨーク市、2020年5月27日からアトランタ、ダラス・フォートワース複合都市圏、ヒューストン、カンザスシティ、シカゴ、ロサンゼルス、フェニックス、ワシントンD.C.で停波した。
Sprintはすべての都市で5Gサービスの提供を開始してから1年未満で終了しており、最短のニューヨーク市ではわずか8ヶ月強で終了したことになる。
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