北朝鮮で携帯電話サービスの開始から18周年、NEAT&Tの商用化から
- 2020年11月11日
- DPRK
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)で携帯電話サービスの商用化から18周年を迎えた。
北朝鮮で最初の移動体通信事業者(MNO)はNorth East Asia Telephone and Telecommunications Co., Ltd. (東北アジア電話通訊会社:以下、NEAT&T)で、NEAT&Tが2002年11月11日に携帯電話サービスを商用化してから18周年となった。
NEAT&TはタイのLoxley Pacific Company Limited (以下、Loxpac)と北朝鮮の政府機関で電気通信分野などの規制を管轄する逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が所有する国営企業のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)が合作企業として設立しており、出資比率はLoxpacが70%、KPTCが30%である。
2002年11月11日に首都・平壌直轄市とNEAT&Tの本社が所在する羅先特別市でSUNNETとして携帯電話サービスの提供を開始しており、通信方式は第2世代移動通信システム(2G)のGSM方式で、周波数は900MHz帯を使用していた。
2004年5月24日に一般向け携帯電話サービスの提供を終了してからは、KPTCがNEAT&Tと協力のうえNEAT&Tの通信設備を使用して政府関係者や長期滞在の駐朝外国人などを対象として限定的に引き続きSUNNETとして携帯電話サービスを提供していたが、2010年12月末をもってSUNNETを完全に終了した。
SUNNETの終了に先立ち2008年12月15日には平壌直轄市で設立したCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO)がkoryolink (高麗網)として一般向け携帯電話サービスの提供を開始し、北朝鮮の携帯電話サービスはkoryolinkに一本化することになった。
通信方式は第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式で、周波数は2.1GHz帯(Band I)を使用している。
CHEOはエジプトのOrascom Investment Holding S.A.E. (以下、OIH)とKPTCが出資する合作企業で、持分比率はOIHが75%、KPTCが25%となっている。
北朝鮮では農村部でも携帯電話サービスの整備が必要となるが、OIHの方針からkoryolinkは整備を主要都市に注力することに決めたため、KPTCがKANGSONG NET (強盛網)として独自の携帯電話サービスの提供を開始した。
KANGSONG NETもW-CDMA方式のBand Iを採用しており、koryolinkとKANGSONG NETは一部の地域を除いて基本的に提供エリアを分けているため、相互に国内ローミングを受け入れている。
KANGSONG NETの試験運用は2012年に開始したが、2012年12月末まではkoryolinkの携帯電話事業独占権が有効であるため、満期を迎えてからKANGSONG NETを正式に商用化することになった。
一部の地方都市ではkoryolinkからKANGSONG NETに置き換えも進み、2014年から2015年にかけてKANGSONG NETの規模が拡大した。
なお、NEAT&Tは携帯電話サービスを終了後も羅先特別市では携帯電話サービスや携帯端末を販売する主要な代理店として機能する。
Loxpacは2013年後半に社名をLoxpac (Thailand) Company Limitedに変更し、2018年3月末には事業を停止しており、NEAT&Tに関連する権利義務はKPTCに譲渡している。
また、北朝鮮に関連する合弁事業は2017年9月11日に採択された国際連合安全保障理事会(United Nations Security Council)の決議第2375号(2017年)で原則として設立や維持が認められていないが、OIHは国際連合安全保障理事会の1718委員会より承認を得られたため、koryolinkに関する事業を継続できる。
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