北朝鮮の携帯電話事業者koryolink (高麗網)、商用化から12周年

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朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の移動体通信事業者(MNO)であるCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)は移動体通信事業者として展開する携帯通信サービスの商用化から12周年を迎えた。

2008年12月15日にkoryolinkの商標で携帯通信サービスを商用化しており、2020年12月15日で商用化から12年が経過したことになる。

これまでに、北朝鮮では複数の移動体通信事業者が携帯通信サービスを提供した実績を有するが、CHEO Technology JV Companyが最も長期にわたり連続して提供している。

商用化までの経過を振り返ると、2007年5月にエジプトのOrascom Telecom Holding (OTH、当時)と北朝鮮の政府機関で電気通信分野などの行政を担当する逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications：MPT)が完全所有する国営のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社：KPTC)が合作企業として設立した。

登記上の本店所在地は北朝鮮の首都・平壌直轄市の平川区域に所在する普通江旅館(POTONGGANG HOTEL)内の事務所で、設立時の持分比率はOrascom Telecom Holdingが75%、Korea Posts and Telecommunications Corporationが25%である。

2008年1月24日には逓信省とWCDMA 移動通信奉仕提供及び運営許可合意書を締結しており、事実上の携帯通信サービスを提供および運営するための免許を取得したことになる。

そして、2008年12月15日に平壌市直轄市の中区域に所在する人民文化宮殿(People’s Palace of Culture)で記者会見を開催してkoryolinkの商用化を発表し、同日に平壌市直轄市の普通江区域に所在する国際通信局(INTERNATIONAL COMMUNICATION CENTRE)に移動して商用化を記念した式典を開催した。

国際通信局には通信網の管理やコールセンターの運営などkoryolinkに関する様々な業務を集約しているため、CHEO Technology JV Companyの主要な業務拠点となっている。

商用化の当日に最初の直営店も国際通信局に開設し、同日より携帯通信サービスおよび携帯端末の販売やサポートなどを取り扱う。

余談ではあるが、2013年1月には短期滞在の外国人向けに携帯通信サービスおよび携帯端末の販売を開始したため、筆者は2013年を含めて複数回にわたり国際通信局内の直営店でkoryolinkに加入してスマートフォンを購入したことがある。

通信方式は第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式を採用し、周波数は2.1GHz帯(Band I)を使用しており、北朝鮮で初めて3Gを導入した移動体通信事業者となった。

koryolinkには朝鮮語名称として高麗網を意味する고려망も存在するほか、携帯電話番号帯に由来する191もkoryolinkを意味する呼称として使用されており、いずれも知名度を高めている。

ロゴには北朝鮮で社会主義建設を象徴する千里馬を採用する。

オランダに本社機能を設置する英領バミューダ諸島のVimpelCom (当時)はOrascom Telecom Holdingを買収したが、CHEO Technology JV Companyは買収の対象外としたため、Orascom Telecom Holdingが保有するCHEO Technology JV Companyに関する権利義務の全部はエジプトで新設したOrascom Telecom Media and Technology Holding (OTMT、当時)が承継した。

なお、VimpelComはVEON、Orascom Telecom HoldingはGlobal Telecom Holding (GTH)、Orascom Telecom Media and Technology HoldingはOrascom Investment Holding (OIH)に社名を変更している。

そのため、2020年12月15日時点でCHEO Technology JV Companyに対する持分比率はOrascom Investment Holdingが75%、引き続きKorea Posts and Telecommunications Corporationが25%となっている。

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国際通信局に開設したkoryolinkの直営店