北朝鮮の情報産業省、逓信省のロゴを承継
- 2021年09月19日
- DPRK
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の政府機関で電気通信分野などの行政機能を所管する情報産業省(Ministry of Information and Communications Technology Industry:MICTI)は逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)のロゴを承継したことが分かった。
北朝鮮の国営の放送局である朝鮮中央テレビジョン(Korean Central Television:KCTV)が2021年9月17日の20時(平壌時間)より放送した9月17日 20時報道で情報産業省を報道し、情報産業省の概要を紹介している。
9月17日 20時報道では北朝鮮の首都・平壌直轄市に所在する情報産業省の本庁舎を公開しており、情報産業省の本庁舎には情報産業省のロゴを掲示していることを確認できた。
情報産業省のロゴは逓信省が使用していたロゴと同一であるため、情報産業省は逓信省のロゴを承継したことが確定した。
これまでに、北朝鮮政府は2021年4月16日から2021年5月17日までの期間に逓信省を廃止し、逓信省の機能を承継する政府機関として情報産業省を設置したことが判明していた。
逓信省の廃止および情報産業省の設置に伴い、国際電気通信連合(International Telecommunication Union:ITU)に登録する電気通信分野の規制当局も逓信省から情報産業省に変更している。
逓信省は機関名の通りに逓信部門の行政機能を所管していたが、9月17日 20時報道では情報産業省が逓信部門の行政機能を所管することも報道しており、情報産業省が逓信省から逓信部門の行政機能を承継した事実も改めて確認できた。
逓信部門には携帯通信などの電気通信分野が含まれるため、逓信省が所管していた携帯通信行政は情報産業省が承継することになった。
北朝鮮政府は科学技術強国の建設を目標に掲げており、逓信部門とそれに関連する部門をひとつの政府機関に集約し、相乗効果の創出や意思決定の迅速化などを図る目的で情報産業省を発足させたと考えられる。
逓信省のロゴは逓信省が所有する会社や施設でも掲示し、逓信省が完全所有していた国営のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:KPTC)が移動体通信事業者(MNO)として運営するKANGSONG NET (強盛網)の携帯通信事業や逓信省が管理していた平壌直轄市普通江区域に所在する国際通信局(INTERNATIONAL COMMUNICATION CENTRE)でも逓信省のロゴを使用していた。
いずれも所有者は逓信省から権利義務を承継した情報産業省に移転したが、逓信省の時代と同様に引き続き所有者のロゴを使用すると思われる。
なお、国際通信局にはKorea Posts and Telecommunications Corporationが25%を出資し、koryolink (高麗網)として携帯通信事業を展開する北朝鮮の移動体通信事業者であるCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)の主要な拠点も所在する。
情報産業省は逓信省からロゴを変更していないため、逓信省から情報産業省に所有者が移転した会社や施設では特に大きな対応は必要ないと考えられる。
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