鴻海精密工業傘下で台湾の亞太電信がGSMサービスを開始

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台湾のFoxconn Technology Group (鴻海科技集団)傘下で同国の移動体通信事業者であるAsia Pacific Telecom (亞太電信)はGSM方式によるサービスを開始した。

第4世代移動通信システム(4G)用として取得した900MHz帯(Band 8)でGSM方式を運用しており、Asia Pacific TelecomのプリペイドSIMカードでGSM方式によるサービスを利用できることを確認した。

Asia Pacific Telecomは第3世代移動通信システム(3G)用に800MHz帯(Band Class 0)、4G用に700MHz帯(Band 28)、900MHz帯(Band 8)、2.6GHz帯(Band 7)を保有しており、このうち800MHz帯はCDMA2000方式を使用し、700MHz帯はFDD-LTE方式で使用している。

700MHz帯の一部および900MHz帯の全部はAMBIT Microsystems (國碁電子)が保有していた周波数で、Asia Pacific TelecomはAMBIT Microsystemsとの合併に伴い取得した。

なお、Asia Pacific TelecomとAMBIT MicrosystemsはAsia Pacific Telecomを存続会社、AMBIT Microsystemsを消滅会社とする吸収合併方式で2015年12月31日を効力発生日として合併を完了した。

4GサービスはFDD-LTE方式の700MHz帯のみで展開しており、遅れて取得して900MHz帯と2.6GHz帯の展開は遅れていたが、900MHz帯はFDD-LTE方式ではなくGSM方式で利用することになる。

Asia Pacific Telecomはローミング提携と称して台湾の移動体通信事業者であるTaiwan Mobile (台湾大哥大)のFDD-LTE方式およびW-CDMA方式のネットワークを利用できるが、台湾の政府機関で電気通信分野を監督する国家通訊伝播委員会(National Communications Commission：NCC)は承認しておらず、Asia Pacific Telecomに罰金の支払いを命じている。

ローミング提携を継続する限り、Asia Pacific Telecomは罰金を支払い続ける必要があるが、音声通話を提供するためにローミング提携が必要な状況にある。

CDMA2000方式に対応した端末の流通量は少なく、CDMA2000方式に非対応の端末ではVoLTE (Voice over LTE)への対応が必須となり、VoLTEに非対応の端末も依然として多いため、Asia Pacific Telecomは音声通話を提供するためにTaiwan Mobileとのローミング提携を選択した。

しかし、罰金やTaiwan Mobileへのローミング料の支払いが続き、さらにFoxconn Technology Groupの株主優待など低廉な料金プランを打ち出したことも影響して4G契約のARPU (1回線当たり月間平均収入)は台湾で最も低い水準にとどまり、収益面で少なからず影響が出ていた。

また、900MHz帯ではGSM方式のほかにW-CDMA方式も技術的には導入できるが、台湾で販売する端末は国家通人伝播委員会の認証を取得する必要がある。

台湾では900MHz帯のGSM方式は他社が導入しているため、台湾で販売される900MHz帯のGSM方式に対応した端末は認証を取得済みであるが、900MHz帯のW-CDMA方式は導入しておらず、新たに認証を取得する必要があり、W-CDMA方式の導入は現実的ではない。

Asia Pacific Telecomは既存顧客に影響を与えずに罰金地獄から早期脱出する方法を検討した結果、GSM方式を導入することに決めたと思われる。

国家通訊伝播委員会は2017年10月に再割当の2.1GHz帯(Band 1)と未割当の1.8GHz帯(Band 3)を対象とした周波数オークションを実施する計画で、Asia Pacific Telecomは2.1GHz帯を取得してW-CDMA方式の導入を図る可能性もある。

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Asia Pacific TelecomのGSM方式に接続