韓国のSK Telecom、ファーウェイ製5G機器の導入でジレンマ
- 2018年09月09日
- 海外携帯電話
韓国の移動体通信事業者(MNO)であるSK Telecomは第5世代移動通信システム(5G)の商用化に向けたベンダの選定でジレンマに陥っていることが韓国メディアの報道で分かった。
SK Telecomは5Gの通信設備を調達するため、2018年9月中にベンダを選定する予定であるが、中国のHuawei Technologies (華為技術)を導入するかどうかで頭を悩ませているという。
5Gの導入初期は3.5GHz帯の周波数を利用する予定で、3.5GHz帯に対応した5Gの商用機器の開発はHuawei Technologiesが最も先行するとされている。
また、5Gではサブ6GHz帯でも3.5GHz帯と高い周波数を利用するため、従来の通信方式より多くの通信設備が必要となる見込みで、Huawei Technologiesの通信設備は韓国や欧州のベンダより3割ほど安くコスト面でも利点が大きい。
ただ、米国や豪州では国家安全保障上の観点から中国企業の通信設備を排除する動きがあり、韓国でも中国企業に対する懸念がしばしば報じられている。
韓国大統領府(青瓦台)の国民請願および提案掲示板では中国企業の通信設備の排除を求める請願が急増するなど、韓国国民の間でも関心は確実に高まっている。
これらの問題はほかの移動体通信事業者と共通であるが、SK Telecomはほかに重大な問題を抱える。
SK Telecomと同じくSK Groupの企業で韓国のSK hynixは重要な顧客の1社がHuawei Technologiesで、Huawei Technologiesを排除すればSK hynixの主要事業である半導体事業に影響を及ぼす可能性が高い。
Huawei Technologiesは韓国の移動体通信事業者に対して5GでHuawei Technologiesの通信設備を採用しない場合、韓国企業からは半導体の輸入を中断すると示唆するなど圧力をかけているとの情報が伝えられている。
SK hynixは売上高のうちHuawei Technologiesが占める割合を「営業上の秘密」としているが、SK Groupの関係者は「かなりの割合」と明かしたという。
なお、SK hynixの筆頭株主はSK Telecomで、持分比率は20.1%となっている。
2017年通年を基準として韓国の情報通信技術製品の輸出額のうち、半導体の輸出額は品目別で圧倒的な1位で、中国市場の拡大に支えられて前年比60.2%増をと大幅な成長を記録した。
SK TelecomがHuawei Technologiesを排除すればSK hynixは重要な顧客を失い、また韓国の情報通信技術製品の輸出にも打撃を与える可能性がある。
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