Vertu Corporationの遺作、高級スマホVERTU Constellation X フォトレビュー
- 2018年10月15日
- Report
英国のVertu Corporationが開発したスマートフォン「VERTU Constellation X」を店頭で試す機会を得たので写真で紹介する。
ラグジュアリースマートフォンの代名詞とも言える「VERTU」ブランド。
VERTUブランドの事業を展開したVertu Corporationが経営破綻したことは有名だろう。
2017年1月にVertu CorporationはVERTU Constellation Xを発表したが、その後に経営破綻したため、VERTU Constellation Xを発売することなくVertu Corporationは清算した。
Vertu Corporationの清算によって世界のほとんどの国と地域ではVERTUブランドの事業は幕を閉じたが、中国ではVERTUブランドの事業が続いている。
中国では同国の首都・北京市に本社を置くVertu Telecommunications Trading (China) (緯図通信貿易(中国))がVERTUブランドの事業を展開する。
元々はVertu Corporationの中国法人として設立されたVertu Telecommunications Trading (China)であるが、Vertu Corporationの経営破綻前に投資家へ売却されていたため、Vertu Corporationが経営破綻後も正規にVERTUブランドの事業を継続できており、これが中国のみでVERTUブランドの事業が残る背景である。
Vertu Corporationの清算に伴い当然ながら製造機能も失われたが、Vertu Telecommunications Trading (China)とリンクした中国人が英国でVertu International Corporationを設立しており、Vertu International Corporationが製造を行う。
こうして「HANDMADE IN ENGLAND」も維持している。
中国でVERTUブランドの事業を継続する背景の詳細については、ハーバービジネスオンラインに寄稿した記事を参照していただきたい。
100万円超! 超高級携帯Vertu 中国で再起を狙う | ハーバービジネスオンライン
Vertu Corporationの清算で発売が見送られたVERTU Constellation Xであるが、中国では2018年4月にVertu Telecommunications Trading (China)が発売しており、Vertu Corporationの遺作と言える。
前置きが長くなったが、中国渡航時にVERTUブランドの正規小売店であるVertu BoutiqueでVERTU Constellation Xを試せたので紹介する。
VERTU Constellation XはVERTUブランドのスマートフォンとしては安価な部類に入るが、それでも筆者にとっては気軽に購入できる金額ではない。
そのため、あくまでもVertu Boutiqueの店頭で試しただけであり、基本的に外観のみの紹介となる点はご容赦いただきたい。
(もし、VERTU Constellation Xを買えない筆者にプレゼントしてやろうという方がいらっしゃれば、遠慮なく連絡いただければとw 10本くらいはレビュー記事を書きますよ。冗談はさておき、VERTUブランドの事業を中国で継続できている背景を日本語で発信しているのはおそらく筆者のみ、VERTUオーナーの皆様に対しては割と有益な情報を発信していると思うんだけどな…)
ディスプレイは約5.5インチで2K解像度のAMOLEDを搭載する。
生体認証は指紋認証に対応しており、ディスプレイの下に指紋認証センサを備える。
AMOLEDと指紋認証センサはサファイアガラスで覆われている。
サファイアガラスは透過率が高く傷や熱に強いため、よく高級腕時計でも利用される素材である。
指紋認証の下はリアパネルと同じ本革を利用する。
標準のラインナップは灰藍小牛皮、玫紅小牛皮、胡桃棕小牛皮、青金石小牛皮、瑪瑙黒小牛皮の5種類で、リアパネルにはイタリア産の仔牛の牛革を利用する。
きめ細かい滑らかな牛革となるため、上質な質感を実現する。
灰藍小牛皮、玫紅小牛皮、胡桃棕小牛皮、青金石小牛皮、瑪瑙黒小牛皮はいずれも価格が39,800人民元(約646,000円)に設定されている。
サイドに見られる赤色のボタンはワンプッシュでVertu CONCIERGEやVertu LIFEにアクセスできるショートカットキーとなり、ルビーで覆われている。
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VERTU Constellation Xの青金石小牛皮
標準のラインナップのうち、当初は灰藍小牛皮、玫紅小牛皮、胡桃棕小牛皮の3種類を発売した。
遅れて2018年5月に青金石小牛皮と瑪瑙黒小牛皮の販売を開始している。
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VERTU Constellation Xの鰐魚皮限量定制版の茶色
標準のラインナップのほかに、限定版として鰐魚皮限量定制版が用意されている。
リアパネルにはワニ革を利用する。
鰐魚皮限量定制版はVertu Telecommunications Trading (China)の公式ウェブサイトに掲載されておらず、実機の写真は貴重と思われる。
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VERTU Constellation Xの鰐魚皮限量定制版の黒色
HANDMADE IN ENGLANDと称する通り、標準のラインナップも含めて英国で職人が手作りするが、鰐魚皮限量定制版は完全オーダーメイドとなる。
そのため、鰐魚皮限量定制版は金属部分の素材や宝石による装飾もカスタマイズできる。
価格はカスタマイズの程度によって異なるが、58,000人民元(約941,000円)からとなる。
写真の鰐魚皮限量定制版はいずれも最低価格の構成である。
VERTU Constellation Xを手に取ると、ほかのスマートフォンにはない特別な体験を味わえた。
若干の緊張と、一瞬だけ富裕層か貴族にでもなった気分に…
東品川の某社が開発したスマートフォンのように本体は分厚くて重いが、むしろVERTU Constellation Xの場合はそれが重厚感や高級感を演出しているように感じた。
ユーザビリティも価格も無視して高級な素材や装飾を取り入れており、ラグジュアリースマートフォンならばヘビー級のサイズでも許されるだろう。
高級ブランドの財布と同じ質感をスマートフォンでも得られるわけだが、残念ながら筆者には似合わなさそうである。
性能は主要なメーカーが提供するハイエンドのスマートフォンにはとても及ばないが、一般的な利用では特に不便を感じることはないと思われる。
VERTUブランドの製品は従来より中国での販売台数が多かった模様である。
そもそも中国は人口が多く市場規模も巨大であるが、経済発展に伴い主要都市では新富裕層が誕生しており、VERTUブランドの製品を買い求める消費者も絶対数としては他市場より多かったという。
投資家がVertu Telecommunications Trading (China)を買収して中国のみでVERTUブランドの事業を継続する狙いも、このような事情と関連すると言えるだろう。
Vertu Corporationも中国市場を無視していたわけではなく、経営破綻前から中国市場を注視しており、実際にVERTU Constellation XはVERTUブランドの製品としては初めて全網通とデュアルSIMに対応した。
全網通はFDD-LTE/TD-LTE/W-CDMA/TD-SCDMA/CDMA2000/GSM方式のすべての通信方式に対応し、中国のすべての移動体通信事業者(MNO)で利用できることを指す。
また、中国では移動体通信事業者が自社ブランドで展開するスマートフォンまでもデュアルSIMに対応しており、さらにクパチーノの某社が発表したスマートフォンは中国と香港特別行政区およびマカオ特別行政区のみ物理的なデュアルSIMとなることで話題になったのは記憶に新しい。
中国市場ではシングルSIMはスマートフォンに非ずとまでは言わないが、全網通とデュアルSIMともに極めて一般的であり、Vertu Corporationは中国市場を念頭に当初よりVERTU Constellation Xは全網通やデュアルSIMに対応する仕様で開発を進めた。
残念ながらVertu Corporationは消滅したが、VERTUブランドもHANDMADE IN ENGLANDもVertu Telecommunications Trading (China)およびVertu International Corporationによって維持されており、さらにVertu Telecommunications Trading (China)およびVertu International Corporationが新規開発したスマートフォンも準備している。
中国市場で地盤を固め、いつの日かグローバルに再出発することを期待したい。
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