Smartisanブランドのスマホ事業はTikTok運営のByteDance傘下に
- 2019年11月06日
- Android関連
Smartisan (錘子)ブランドのスマートフォン事業の運営主体が中国のByteDance (字節跳動)傘下に移った。
中国でSmartisanブランドのスマートフォン「Smartisan JianGuo Pro 3 (錘子 堅果 Pro 3)」が公開されたが、もはや中国のSmartisan Digital (北京錘子数碼科技)は運営主体ではなくなり、中国のDelta Innovation Technology (北京得特創新科技)が運営主体となった。
これまで、Smartisanブランドのスマートフォン事業は中国のSmartisan Technology (錘子科技(北京))の完全子会社で事業会社として機能するSmartisan Digitalが展開してきた。
しかし、Delta Innovation TechnologyはByteDanceが間接所有する完全子会社であるため、Smartisanブランドのスマートフォン事業の運営主体はByteDance傘下に移ったことを意味する。
Smartisanブランドのオンライン販売サイトである錘子商城の運営主体もSmartisan DigitalからDelta Innovation Technologyに変わっている。
ByteDanceとその子会社はSmartisan Technologyとその子会社からスマートフォン事業の中核資産を取得し、スマートフォン事業への参入を果たした。
運営主体こそDelta Innovation Technologyであるが、スマートフォンの開発には複数のByteDanceの子会社が関与している。
ByteDance傘下のスマートフォン事業の研究開発陣は新石実験室と命名されているが、新石実験室は法人ではないことを明確化しておきたい。
Smartisan Technologyおよびその子会社はスマートフォンの販売不振に伴う業績悪化で経営状態が深刻化し、スマートフォン事業の継続が厳しい状況に追い込まれ、事実上の事業譲渡を余儀なくされた。
ただ、Smartisan TechnologyおよびSmartisan Digitalの法人自体がByteDanceの傘下入りしたわけではない。
Smartisan Digitalは引き続きSmartisan Technologyの完全子会社で、Smartisan Technologyの筆頭株主は同社の創業者であることに変わりなく、Smartisan TechnologyとByteDanceは資本関係を持たない。
Delta Innovation Technologyの会社情報を確認すると、2018年9月27日に中国の首都・北京市でDelta Online Technology (北京得特在線科技)として設立された。
登録資本金は100万人民元(約1,549万円)である。
2019年3月11日に社名をDelta Innovation Technologyに変更した。
2019年3月22日には経営範囲を変更して通信機器の販売を追加しており、内部では2019年3月頃にスマートフォン事業への参入を決定したと思われる。
所有構造はByteDanceの完全子会社で中国のBeijing Xingyun Chuangji Technology (北京星雲創迹科技)の完全子会社で中国のBeijing Dayan Xingkong Technology (北京大眼星空科技)の完全子会社がDelta Innovation Technologyとなる。
なお、SmartisanブランドのスマートフォンはOSにAndroidをベースとして開発したSmartisan OSを採用するが、Smartisan OSの開発元がBeijing Dayan Xingkong Technologyである。
ByteDanceは様々なサービスを展開しているが、その中でも間接的に所有する子会社で中国のmusical.ly (蜜柚網絡科技(上海))を通じてTikTok、間接的に所有する完全子会社で中国のBeijing Microlive Vision Technology (北京微播視界科技)を通じてTikTokの中国版であるDouyin (抖音)を提供することで日本でも知名度が高い。
Smartisan JianGuo Pro 3のカメラにはTikTokおよびDouyinのステッカーや補正技術が適用されているが、Smartisan JianGuo Pro 3はSmartisan DigitalのプロジェクトをDelta Innovation Technologyが承継して製品化しており、Smartisan Digitalが過去に発売したSmartisanブランドのスマートフォンの顧客の需要を満たす目的の方が強い。
そのため、Smartisanブランドに加えて製品名には既存のJianGuo (堅果)シリーズの名も残したと思われる。
スマートフォン事業への参入を決定して10ヶ月前後で独自色の強いスマートフォンを製品化することは難しいと思われるが、将来的にはByteDanceのアセットを存分に生かしたスマートフォンがDelta Innovation Technologyから登場する可能性もある。
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