米国政府がミャンマー経済公社を制裁対象に、携帯電話事業MECTelも展開
- 2021年03月08日
- 海外携帯電話
米国の政府機関である商務省(Department of Commerce)傘下の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security)はミャンマー(ビルマ)の4の事業体を制裁対象に指定すると発表した。
産業安全保障局は2021年3月8日を効力発生日として4の事業体をEntity Listに追加する。
4の事業体には2の政府機関とその政府機関が所有する2の会社が含まれており、具体的にはミャンマーの政府機関である国防省(Ministry of Defence)および内務省(Ministry of Home Affairs)、国防省が所有するMyanmar Economic Corporation (ミャンマー経済公社:MEC)およびMyanmar Economic Holdings Limited (ミャンマー経済ホールディングス:MEHL)である。
ミャンマー憲法の規定に基づき国防省、内務省、国境省(Ministry of Border Affairs)の大臣任命権はミャンマー国軍最高司令官が保有し、国防省、内務省、国境省およびこれらの政府機関が所有する会社などの組織はミャンマー国軍が支配する。
そのため、産業安全保障局は国防省および内務省、国防省が所有する主要な会社で実質的に国防省の商業部門として機能するMyanmar Economic CorporationおよびMyanmar Economic Holdings LimitedをEntity Listに追加することになった。
Entity Listに追加された事業体や個人に輸出管理規則(Export Administration Regulations:EAR)の対象品目となる特定の米国原産品などを供給するためには供給者側でライセンスの取得が必要であるが、原則としてライセンスの申請は却下される。
特定の米国原産品などには米国原産の二重用途の材料や部品など汎用品、ソフトウェア、特許を含めた技術をはじめとする特定の米国原産品、価値ベースで特定の米国原産品が所定の比率以上を占める製品が含まれるため、Entity Listの追加された事業体や個人は特定の米国原産品などの調達が困難となる。
Myanmar Economic Corporationは様々な事業分野に進出する複合企業で、携帯通信分野にも進出している。
本来、ミャンマーで移動体通信事業者(MNO)として携帯通信事業を展開するためにはNationwide Telecommunications Licenceを取得する必要があるが、歴史的経緯から特別な位置付けのMyanmar Economic CorporationはNationwide Telecommunications Licenceを取得せずに移動体通信事業者として携帯通信事業を行う。
Myanmar Economic CorporationはNetwork Facilities Service (Individual) Licenceを取得しており、仮想移動体通信事業者(MVNO)として携帯通信事業を展開できるが、実際はNationwide Telecommunications Licenceに基づき移動体通信事業者として携帯通信事業を行うMyanma Posts and Telecommunications (ミャンマー国営郵便・電気通信事業体:MPT)が保有する周波数を使用し、自ら基地局を開設して移動体通信事業者として携帯通信事業を展開する。
通信方式は第3世代移動通信システム(3G)のCDMA2000方式を採用しており、周波数は800MHz帯(Band Class 0)である。
また、Myanmar Economic Corporationは子会社のStar Highを通じてNationwide Telecommunications Licenceに基づき移動体通信事業者として携帯通信事業を行うTelecom International Myanmarにも資本参加しているが、Star HighおよびTelecom International MyanmarはEntity Listに追加されていない。
産業安全保障局はミャンマーの状況次第では対象の拡大も検討すると思われる。
なお、Myanmar Economic CorporationはMECTel、Telecom International MyanmarはMytelとして携帯通信事業を行う。
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