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エジプトのOrascom TMTが北朝鮮の携帯電話事業から撤退を検討、海外メディアが報じる

  • 2016年01月04日
  • DPRK


エジプトのOrascom Telecom Media and Technology Holding (以下、OTMT)は朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)における携帯電話事業から撤退を検討していると海外メディアが報じている。

北朝鮮からの撤退は決定したわけではなく、山積している問題を解決するために交渉にあたっているという。

OTMTは北朝鮮の逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications)傘下のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)と合弁でCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO Technology)を設立し、2008年12月15日よりブランド名をkoryolink (高麗リンク)として携帯電話サービスを提供している。

これまでよりOTMTは北朝鮮における携帯電話事業で複数の問題があることを明らかにしており、主な問題としては国際社会の経済制裁により新たな設備や技術の導入が困難であること、市場交換レート(実勢レート)と朝鮮中央銀行が公示する公定レートに大幅な開きがあり、OTMTが財務諸表の通貨換算で採用する公定レートの適用には北朝鮮当局からの承認が必要なうえに、収益を北朝鮮国外への送金が困難であること、新たな移動体通信事業者の設立計画があり、競合他社の登場で収益性の悪化が懸念されることが挙げられている。

問題を解決するために競合他社との合併などを含めて協議しているが、依然として未解決であることが明らかにされている。

OTMTは2015年第3四半期の決算発表資料において、困難な状況が続くCHEO Technologyを連結対象から外し、従来の子会社としてではなく関連会社として扱うことを発表した。

エジプトの会計基準などを考慮してCHEO Technologyの位置付けを変更したと説明しているが、関連会社とすることで新たな競合企業との統合やKPTCへの売却を容易にする狙いもあると見られる。

ただ、2015年9月に訪朝した際は新たな携帯電話事業者とされるSTAR (Byol)は開始しておらず、都市部ではCHEO Technologyが提供しており、競合ではなくCHEO Technologyを補完するために郊外ではKPTCがKANGSONG NET (強盛網)として提供しており、CHEO Technologyの競合となる新規参入はなくSTARによる携帯電話事業への参入はあくまでもそのような案がある程度という。

CHEO Technologyへの出資比率はOTMTが75%、KPTCが25%となるが、Starが携帯電話サービスを開始する前にCHEO TechnologyとStarの統合によりOTMTはCHEO Technologyへの出資比率を引き下げ、もしくは完全にKPTCまたはStarに売却して北朝鮮からの撤退を検討している可能性が考えられる。

これまでOTMTがCHEO Technologyのことを言及する際はポジティブな内容が多かったが、ここ約1年はネガティブな内容が目立っており、北朝鮮における携帯電話事業に対して相当なストレスが溜まっていることは想像に難くない。

そのため、これら一連の動きを見ていればOTMTが北朝鮮における携帯電話事業からの撤退を検討中との報道に驚きはなく、十分に予想できる範囲と言えるだろう。

なお、STARについて当初はByolと報じられており、外国人などに対してインターネット接続サービスを提供するインターネットサービスプロバイダ(ISP)とされていた。

Byolは朝鮮語で星を意味する별 (Byol)に由来し、STARが朝鮮語の呼び方で伝わったものと考えられる。

北朝鮮では英語ではなく朝鮮語で呼ぶことがあり、実際にkoryolinkは朝鮮語で高麗網を意味する고려망 (Koryomang)と呼ばれていることを訪朝時に確認済みで、北朝鮮のスマートフォンではkoryolinkが고려망と表示された。

このSTARはタイのLoxleyの関連会社でタイのLoxpac (Thailand)の完全子会社である香港特別行政区のLoxpac Hong KongとKPTCによる合弁会社で、北朝鮮の国別コードトップレベルドメインの.kpを管理するほか、インターネットサービスプロバイダとして外国人などに対してインターネット接続サービスを提供しており、Byolとして伝えられていた情報と一致している。

また、北朝鮮では平壌にインターネットサービス通信局を建設するにあたりLoxpac (Thailand)が協力することが判明しており、今後はLoxley系列が北朝鮮におけるICT事業の中核を担う可能性がある。

WSJ

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