Galaxy Note7の製造中止はサムスン電子に依存するベトナム経済への影響が懸念
- 2016年10月12日
- 海外携帯電話
韓国のSamsung Electronicsはスマートフォン「Samsung Galaxy Note7」の製造および販売を中止したが、ベトナム経済に懸念を与えていることが外国メディアの報道で分かった。
世界各地でSamsung Galaxy Note7の爆発事故が相次いで発生したことを受けて、2016年9月2日にリコールおよび1度目の販売中止を発表したが、2016年8月19日の発売直後より爆発は報告されており、リコールや販売停止の正式発表に先立ち2016年8月31日より出荷を見合わせたという。
2016年9月29日にはSamsung Galaxy Note7の出荷を再開しているが、2016年9月はほぼ出荷を見合わせたことになり、ベトナムの輸出に大きな影響を与えた。
ベトナムの2016年9月における輸出額は150億米ドルで、2016年8月より6.8%の減少を記録した。
すべての品目のうち携帯電話および携帯電話関連部品の輸出は特に減少幅が大きく、前月比で17.4%の減少を記録し、輸出額はわずか5億600万米ドルで、Samsung Galaxy Note7の出荷停止が影響したと見られる。
ベトナムには多くのスマートフォンの製造工場が設置されており、中国に代わる製造拠点としてベトナムに注目する企業も多い。
韓国のLG Electronicsや台湾のCompal Electronics (仁宝電脳工業)もベトナムにスマートフォンの製造工場を保有しており、台湾のFoxconn Technology Group (鴻海科技集団)傘下のFIH Mobile (富智康集団)は米国のMicrosoftから同社子会社でベトナムのMicrosoft Mobile (Vietnam)を買収してMicrosoft Mobile (Vietnam)がベトナムで所有する工場を取得することが決まっている。
ベトナム国内企業のブランド向けにスマートフォンを製造する企業も存在するが、大半がベトナム国外への輸出となり、Samsung Electronicsが輸出の大多数を占める。
Samsung Electronicsは2008年にSamsung Electronicsや同社の関連会社が150億米ドルを投資してベトナムの首都・ハノイの近郊に工場を設立した。
その後、ベトナムの工場はSamsung Electronicsの重要な製造拠点に成長し、2014年以降はベトナムにおける製造の比率を高めている。
Samsung Galaxy Note7に限らずグローバル向けに出荷している多くのスマートフォンはベトナムで製造しており、2015年はSamsung Electronicsおよび同社の関連会社によるベトナムからの輸出額は330億米ドルに達したという。
Samsung Electronicsはベトナムの輸出額の20%も占めており、Samsung Electronicsとその関連会社はベトナムで最大の輸出者で、ベトナム経済に大きく貢献している。
ベトナム税関総局による情報を参照すると、データが公開されている1995年から2011年までベトナムは貿易赤字が続いたが、Samsung Electronicsの輸出額はベトナム政府の想定よりも大幅に上回り、2012年には初めて貿易黒字を記録し、ベトナム政府の収支目標も上回る結果となった。
また、Samsung Electronicsの輸出には携帯電話や携帯電話関連部品以外も含まれるが、大半が携帯電話および携帯電話関連部品であり、Samsung Electronicsの輸出拡大により、2014年と2015年はベトナムで最大の輸出品目が携帯電話および携帯電話関連部品となっている。
2014年まで3年連続で貿易黒字を記録し、2015年は建設資材の輸入が多かったことなどが影響して貿易赤字に転落したが、Samsung Electronicsを中心に携帯電話の輸出は好調が続いた。
しかし、Samsung ElectronicsのフラッグシップであるSamsung Galaxy Note7の出荷停止は早くも輸出額に影響しており、製造の中止が決定したことでその影響はさらに拡大すると予想される。
このようにベトナム経済はSamsung Electronicsへの依存度を高める状況で、Samsung Galaxy Note7の販売中止がベトナム経済に打撃を与えることが懸念されている。
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