Viettel Camerounの経営危機、ついに政府介入へ
- 2019年05月14日
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ベトナムのViettel Group (軍隊工業通信グループ)の子会社でカメルーンの移動体通信事業者(MNO)であるViettel Camerounの経営危機を受けて、ベトナムとカメルーンの両政府が介入する事態に発展した。
Viettel Camerounは2012年に設立されており、Viettel Groupの子会社で国際投資事業を担当するベトナムのViettel Global Investment (以下、VTG)とカメルーンのBestinver Cameroonが出資する合弁会社で、出資比率はVTGが70%、Bestinver Cameroonが30%となっている。
Viettel CamerounはViettel Groupの子会社と位置付けられ、ブランド名をNexttelとして展開している。
しかし、VTGとBestinver Cameroonの間で経営方針をめぐる対立が深刻化し、カメルーン国内の裁判所では訴訟も繰り広げている。
Viettel CamerounとBestinver Cameroonの対立は2018年第2四半期から2018年第3四半期頃より表面化していた。
Bestinver CameroonはVTGがベトナムから大量に労働者を受け入れており、結果としてカメルーン人が働く機会を奪い、Viettel Camerounを私物化していると非難した。
また、Bestinver CameroonはViettel Camerounの代理店に対して支払先の口座をBestinver Cameroonの口座に変えるよう働きかけた模様である。
一方、VTGはViettel Camerounの従業員のうち94%がカメルーン人で、管理職のうち85%がカメルーン人で構成されており、さらにカメルーン人への技術移転にも努めているとBestinver Cameroonの主張を全面的に否定している。
さらに、VTGはカメルーン国民のために事業を行うと誓い、提携関係を弱体化させてVTGの投資を過小評価し、VTGに損害を与える行動に反対すると公式声明を発表していた。
対立の長期化を受けて、ベトナム政府はカメルーン政府に対してカメルーンで活動するベトナム企業を保護する責任があると主張してカメルーン政府の対応に懸念を表明し、グエン・クオック・クオン外務副大臣をカメルーンに派遣した。
グエン・クオック・クオン外務副大臣は2019年5月6日から2019年5月7日の日程でカメルーンの首都・ヤウンデを訪問し、カメルーンのジョセフ・ディオン・ングテ首相と会談してベトナムのグエン・スアン・フック首相からの手紙を渡すとともに、Viettel Camerounの経営危機に関して80分以上も意見交換を行った。
会談では早期に友好的な解決策を提案するため委員会を設置することで合意しており、カメルーン政府はVTGの正当な権利を保護するため努力すると約束し、ベトナムとカメルーンの両政府が介入して解決策を模索することになった。
カメルーン国内外のアナリストは概ねBestinver Cameroonの主張に懐疑的な傾向で、仮に経営危機を理由にVTGがカメルーンから撤退すれば、カメルーンの外資誘致に悪影響を与えると懸念している。
なお、Viettel Groupはベトナムの政府機関でベトナム人民軍を統括する国防省(Ministry of National Defence:MOD)が完全所有する国営企業で、Bestinver Cameroonはカメルーンの実業家が所有する企業である。
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