シンガポールのM1、SA構成とVoNRを導入
- 2021年07月24日
- 海外携帯電話
シンガポールの移動体通信事業者(MNO)であるM1 (第一通)は第5世代移動通信システム(5G)の無線方式であるNR方式でスタンドアローン(SA)構成および音声通話と実現するVoNR (Voice over NR)を導入すると発表した。
M1は2020年9月25日よりトライアルとして5Gを提供しており、まずは第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成でNR方式を運用している。
ただ、2021年7月27日にはSA構成のトライアルを開始する準備が整い、SA構成およびVoNRを2021年7月27日より提供する予定である。
NSA構成では音声通話はアンカーバンドとして機能するLTE方式で音声通話を実現するVoLTE (Voice over LTE)となる。
SA構成ではVoLTEに切り替えるEPSフォールバック(Evolved Packet System Fallback)もしくはVoNRで音声通話を提供できる。
SA構成の導入初期はVoNRを実装しない事例も少なくないが、M1はSA構成の導入と同時にVoNRの提供も開始することになった。
M1は韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)と協力してSA構成およびVoNRを展開すると説明しており、まずはソフトウェアのアップデートを通じてSamsung Galaxy S21 5G、Samsung Galaxy S21+ 5G、Samsung Galaxy S21 Ultra 5GがSA構成およびVoNRに対応する予定である。
NR方式の周波数はサブ6GHz帯の2.1GHz帯および3.5GHz帯を使用している。
NR Bandは2.1GHz帯がFR1のn1、3.5GHz帯がFR1のn78となる。
2.1GHz帯は第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式で使用していた周波数の一部を転用しており、M1が自社で無線アクセスネットワーク(RAN)を整備する。
3.5GHz帯はM1とシンガポールの移動体通信事業者であるStarHub Mobile (星和移動)が共同で5G向け周波数として新規に取得した周波数で、M1とStarHub Mobileの折半出資合弁会社でシンガポールのAntinaが移動体通信事業者としてRANを整備し、M1およびStarHub Mobileは卸提供を受けることになる。
シンガポールでは5G向け周波数の割当を実施した時点で4社の移動体通信事業者が存在したが、3.5GHz帯は割当枠が2枠に限定されたため、M1とStarHub Mobileは共同で申請および取得し、折半出資合弁会社を通じて整備することになった。
また、3.5GHz帯の割当時の規則で3.5GHz帯を使用して5Gを商用化する場合はSA構成を導入する必要があると規定されている。
そのため、M1は2.1GHz帯を使用してNSA構成でトライアルとして5Gの提供を開始した。
SA構成のトライアルで安定した運用を確認後、正式に5Gを商用化すると思われる。
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