北朝鮮で携帯電話導入20年、東北アジア電話通訊会社のSUNNET商用化から
- 2022年11月11日
- DPRK
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)で携帯電話を導入して20年の節目を迎えた。
北朝鮮で最初の携帯電話サービスは2002年11月11日に提供を開始したため、2022年11月11日は北朝鮮で携帯電話を導入して20年の節目となった。
北朝鮮で最初の移動体通信事業者(MNO)はNorth East Asia Telephone and Telecommunications Co., Ltd. (東北アジア電話通訊会社:NEAT&T)である。
NEAT&Tは2002年11月11日に北朝鮮の首都・平壌市と羅先市で同時にSUNNETとして第2世代移動通信システム(2G)のGSM方式に準拠した携帯電話サービスを商用化した。
基地局を構成する無線装置はスウェーデンのEricsson製で、900MHz帯の周波数で運用していたが、2004年5月24日には一般向けにSUNNETの提供を終了している。
北朝鮮の政府機関として存在した逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が完全所有した北朝鮮国営のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:KPTC)がNEAT&Tの基地局を承継し、加入者を限定してSUNNETの運用を継続していた。
2008年12月15日には北朝鮮の移動体通信事業者であるCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社)がkoryolink (高麗網)として第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式に準拠した携帯電話サービスを商用化したため、旧方式のSUNNETは2010年12月末をもって完全に提供を終了した。
CHEO Technology JV Companyは北朝鮮各地でkoryolinkを整備したが、主要都市に集中する方向に切り替えたため、KPTCが移動体通信事業者として地方都市を中心に携帯通信網を整備することになった。
KPTCはKANGSONG NET (強盛網)としてW-CDMA方式に準拠した携帯電話サービスを展開している。
羅先市ではkoryolinkからKANGSONG NETに移行しており、移動体通信事業者としての携帯電話事業を終了したNEAT&Tは羅先市に限定して代理店の位置付けでKANGSONG NETを取り扱うほか、スマートフォンなど携帯端末の販売や修理も行う。
NEAT&Tの設立時の出資比率はタイのLoxpac (Thailand) Company Limited (Loxpac)が70%、KPTCが30%であるが、Loxpacは2013年後半に社名をLoxpac (Thailand) Company Limitedに変更し、2018年3月末には事業停止してNEAT&Tに係る権利義務の全部をKPTCに譲渡したため、NEAT&TはKPTCの完全子会社となった。
なお、逓信省は北朝鮮で携帯電話分野を含めた通信分野の規制当局として機能してきたが、2021年4月16日から2021年5月17日までに逓信省を廃止および情報産業省(Ministry of Information and Communications Technology Industry:MICTI)を設置した。
情報産業省は逓信省の権利義務の全部を承継した政府機関で、逓信省と同一の紋章を使用している。
KPTCも情報産業省が完全所有することになる。
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