スポンサーリンク

韓国における第4の携帯電話事業者を選出する本審査の採点詳細と評価



韓国の行政機関で電気通信事業などを管轄する未来創造科学部は第4の移動体通信事業者の選定結果を2016年1月29日の15時30分(韓国時間)に発表し、あらかじめ定められた合格ラインに達する企業はなく第4の移動体通信事業者の選出は見送る決定を下した。

これまでの経緯も明確にしており、未来創造科学部は2015年6月25日に基幹通信事業の基本計画を発表し、2015年8月31日に基幹通信事業許可の申請および周波数の割り当てを公告、2015年10月30日に申請の受け付けを開始した。

周波数割り当てにはカバレッジ要件が含まれており、人口カバー率はサービス開始時点で25%、1年目で40%、2年目で55%、3年目で70%、4年目で85%、5年目で95%に拡大することを義務付けている。

割り当てる周波数はFDD-LTE方式またはTD-LTE方式となっており、FDD-LTE方式が2500.0~2520.0 MHzおよび2620.0~2640.0 MHzの20MHz幅*2、TD-LTE方式が2575.0~2615.0 MHzの40MHz幅と定めた。

Quantum Mobile、Sejong Mobile、K Mobileの3社が基幹通信事業許可を申請し、これを受けて未来創造科学部は2015年11月24日および2015年11月25日に申請資格および周波数割り当ての資格検討として適格検査を実施し、申請企業の3社ともが適格審査を合格して本審査に進んだ。

2016年1月24日から2016年1月29日まで事業計画書を中心に本審査を実施し、本審査期間中の2016年1月26日には申請企業の代表者および申請企業の株式保有率が3%以上の株主を対象とした聴聞も実施した。

本審査は4つの項目に分かれており、1つめは基幹通信役務の安定提供に必要な能力(以下、項目1)、2つめは基幹通信役務提供計画の実施に必要な財政的能力(以下、項目2)、3つめは基幹通信役務提供計画の実施に必要な技術的能力(以下、項目3)、4つめが利用者保護計画の妥当性(以下、項目4)となっている。

配点は項目1が40点満点、項目2が25点満点、項目3も25点満点、項目4が10点満点、合計点が100点満点となっており、基幹通信事業の事業権を取得するための合格ラインは各項目における100点満点換算で60点以上を満たし、その上で合計点が70点以上を獲得する必要があると定められた。

そのため、仮に合計点が70点を上回る場合でも、各項目の点数において1項目でも100点満点換算で60点未満となれば不合格となる。

複数の企業が合格ラインを満たす場合は、合計点が最も多い1社のみに基幹通信事業の事業権を付与する規則としていた。

本審査の結果は下記の通りで、括弧内は各項目における100点満点換算の点数である。

■Quantum Mobile
項目1 25.84点(64.60点), 項目2 17.07点(68.28点), 項目3 16.29点(65.18点), 項目4 6.75点(67.48点), 合計 65.95点

■Sejong Mobile
項目1 24.60点(61.50点), 項目2 15.32点(61.26点), 項目3 15.35点(61.40点), 項目4 6.73点(67.28点), 合計 61.99点

■K Mobile
項目1 24.90点(62.25点), 項目2 11.81点(47.24点), 項目3 16.23点(64.91点), 項目4 6.70点(67.02点), 合計 59.64点

各項目の点数はK Mobile以外の企業はすべて60点以上を満たしたものの、いずれも合計点で70点未満となったため、合格ラインを満たす企業はなく第4の移動体通信事業者は選出が見送られた。

未来創造科学部は採点理由も明確にし、全体的に資金調達計画の信頼性および実現可能性に不安があり、ネットワークの構築やサービスを提供するための具体的な方策の提示が不十分としている。

各企業の具体的な評価も掲載しており、Quantum Mobileは100社以上の中小企業が株主と参加して機器調達のための協力体制などは高い評価を受けたが、具体的なネットワーク構築の準備を提示せずに事業権獲得後から1年以内に85の主要な都市をカバーして人口カバー率を92%とすると主張し、これは現実的な計画ではなく基幹通信役務の安定提供に不安があると判断された。

また、財政能力では聴聞の過程で複数の主要株主の出資金が許可申請時の内容とは相違点が確認されたため、資金調達計画が不確実で財政的能力も不安との判断が下された。

Sejong Mobileはsnowmanのブランドで仮想移動体通信事業者(MVNO)として通信サービスを提供しているSejong Telecomの子会社で、通信サービスに関する専門知識は認められるが、しばらくはソウルと主要都市のみに限定してネットワークを構築して人口カバー率を26%とし、韓国全土におけるカバレッジの段階的な拡大は急がないとしていたが、この計画は基幹通信役務の安定提供が見込めず周波数割り当ての要項に合致しないと判断された。

また、主要株主の財務状況を考慮すると資金調達計画の実現可能性が不十分と判断しており、筆頭株主であるSejong Telecomの財政能力が不安視されたことが大きく影響した模様である。

K Mobileは合計点数が最も低いが、特に項目2が低く評価されており、海外資本が出資することを基本計画には盛り込んでいるものの、資金調達計画が不確実で株主構成も不透明なままとしており、安定した経営が困難とする判断を受けて財政的能力は非常に低い評価を受けた。

財政的能力以外の基本計画については触れられておらず、特筆すべき事項はなかったものと思われる。

基幹通信事業許可を申請した3社について簡単に紹介しておくと、Quantum Mobileは幹部にHYUNDAI MOBISの元幹部などを招聘しており、多数の中小企業が出資している。

出資する中小企業にはBarun Electronics、Comtec Systems、KDC、SOLiDが含まれており、特にSOLiDはOptisと共同出資でSMA Solution Holdingsを設立してPantechを買収したことでも知られている。

Sejong MobileはSejong Telecomの子会社で、仮想移動体通信事業者として通信サービスを展開しているものの移動体通信事業への参入を狙った。

K Mobileは設立に役人などが関与しており、幹部にはKorea Mobile Internet (KMI)の元関係者も含まれているが、Korea Mobile Internetとは異なる事業体としている。

事業計画における初期資本金はQuantum Mobileは1兆韓国ウォン、Sejong Mobileが4,000億韓国ウォン、K Mobileが1兆韓国ウォンと申請していた。

未来創造科学部は新規参入の支援策として周波数の優先的な割り当てやネットワーク構築前の都市では国内ローミングの提供を許可するなど、新規参入の障壁緩和策を積極的に提示してきたが、あらかじめ定められた合格ラインを満たす企業がなく7度目の基幹通信事業の新規参入募集も失敗に終わった。

未来創造科学部は今後について、競争環境など市場の状況を総合的に考慮して政策の方向性を再提案する方針としている。

未来創造科学部

スポンサーリンク

コメントを残す









  • follow us in feedly
  • Recent Entries


  • スポンサーリンク

    Instagram



  • Amazonアソシエイト

  • SNS

  • Calendar

    2023年9月
     123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930  
  • Archive

  • Select Category

  • LINK