北朝鮮の通信事業者STAR JV、投資拡大でISP事業の独占権延長を目指す
- 2017年04月13日
- DPRK
タイのLoxley (ロックスレイ/บริษัท ล็อกซเล่ย์ จำกัด (มหาชน))の関連会社で香港特別行政区のLoxpac Hong Kong (ロックスパック・香港/บจ. ล็อกซแพค ฮ่องกง)は同社の子会社で朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の通信事業者であるSTAR JOINT VENTURE (スター合弁会社/별합영회사/บจ. สตาร์ เจ วี)より配当金を2017年2月に受け取ったことを発表した。
2016年通年におけるSTAR JOINT VENTUREの業績に基づき、Loxpac Hong KongがSTAR JOINT VENTUREより受け取った配当金は1,425万タイバーツ(約4,529万円)となった。
STAR JOINT VENTUREは2010年にLoxley Pacific Hong Kong (ロックスレイ・パシフィック・香港)と北朝鮮の政府機関である逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications/체신성:MPT)が完全所有するKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社/조선체신회사:以下、KPTC)による合弁会社として北朝鮮の首都・平壌で設立されており、出資比率はLoxley Pacific Hong Kongが70%で、KPTCが30%である。
2010年10月10日に羅先経済貿易地帯を除いた北朝鮮全域で独占的なインターネットサービスプロバイダ(ISP)としてSTAR JOINT VENTUREが事業を開始した。
なお、Loxley Pacific Hong KongはSTAR JOINT VENTUREを設立する目的で2009年7月16日にLoxleyの子会社でタイのLoxley Pacific (ロックスレイ・パシフィック)が全額出資子会社として香港特別行政区で設立しており、2013年後半にLoxley Pacificが社名をLoxpac (Thailand) (ロックスパック(タイランド)/บจ. ล็อกซแพค (ประเทศไทย))に変更したことに伴い、Loxley Pacific Hong Kongは2014年9月15日付けで社名をLoxpac Hong Kongに変更している。
Loxpac Hong Kongは香港特別行政区で登記した企業であるため、英文社名に加えて繁体中文社名も持てるが、設立当初より繁体中文社名は付していない。
2012年12月にLoxley PacificはLoxley Pacific Hong Kongを子会社から切り離し、Loxley Pacificの既存株主に対してLoxley Pacific Hong Kongの株式を割り当て、Loxley Pacific Hong Kongとの直接的な資本関係は解消した。
出資構造が変化したもののLoxleyの関連会社であることには変わらず、2015年11月にはLoxpac Hong KongがTiffany Consultant (ティファニー・コンサルタント)やLoxpac (Thailand)に株式を売却して資金調達を行った。
これにより、一度は直接的な資本関係を解消したLoxpac (Thailand)によるLoxpac Hong Kongへの出資比率は3%となった。
調達した資金はSTAR JOINT VENTUREの事業に充当しており、すべての債務の支払いのほか平壌にインターネットセンターを建設するために十分な資金を確保し、北朝鮮への投資をさらに加速する。
STAR JOINT VENTUREは事業の開始に伴い2025年まで15年間のISP事業の独占権を取得したが、インターネットセンターの設立など投資規模を拡大することで2035年まで独占権の延長を目指す。
なお、STAR JOINT VENTUREには携帯電話事業への新規参入案が浮上していたものの新規参入には至らず、ISP事業の強化を優先する見通し。
Loxpac Hong Kongの直近3年間の年間売上高は2014年通年が378,935ユーロ(約4,406万円)、2015年通年が463,365ユーロ(約5,388万円)、2016年通年が381,267ユーロ(約4,433万円)となっている。
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