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FREETELのチリ1位は2週間のみらしい、しかしFREETELブランドではない模様



FREETELブランドを展開するPlus One Marketingは2016年11月21日に開催した発表会において、チリにおける占有率で1位を獲得したことを明らかにした。

タイトルに矛盾がある感はあるが、これはPlus One Marketingの発表内容に矛盾があるためで、とりあえずチリにおける1位に関して調査してみた。

この発表当初より怪しさを感じていたが、調査を進めるうちに怪しさが増してきた。

なぜ今更この件について触れるかというと、2017年4月14日に掲載されたORICON NEWSの記事でチリの件が触れられていたので、改めて調査を行った。

ORICON NEWSの記事ではPlus One Marketingの代表取締役・増田薫氏が「実は去年、まだ海外のビジネスを始めて1年半くらいの頃に中南米のチリという国で、2週間だけiPhone・Galaxyを抑えてうちがシェア率1位になったんです。チリで日本メーカーのスマートフォンが1位になったのはFREETELが始めてなんですよ。その理由は現地の人たちが「日本メーカーだ!」と食いついてくれたから。すごく嬉しくないですか?」と語っている。

集計の対象期間が1ヶ月なのか、それとも1四半期なのか、発表会では明かされなかったはずであるが、2週間のみ1位となった模様である。

Plus One Marketingを日本メーカーと認識すべきかどうかはさておき、このコメントからは、「日本メーカー」であることがチリの消費者に選ばれた主要な理由と受け取れる。

参考:ORICON NEWS

また、FREETELブランドの公式ウェブサイトで沿革を参照すると、2016年7月に「南米大手通信キャリア「Entel」と業務提携。チリ、ペルーでスマートフォンを発売」と記載されている。

参考:FREETEL

Entelは正式社名がEmpresa Nacional de Telecomunicaciones、チリの首都・サンティアゴに本社を置く企業で、略称およびブランド名がEntelとなり、チリのほかペルーで子会社のEntel Peruを通じて携帯電話事業を手掛ける。

Empresa Nacional de Telecomunicacionesはチリ国内の加入件数でスペインのTelefonica傘下のTelefonica Movil de Chileと1位を争うほどの携帯電話事業者で、顧客数が多く販路も充実すると思われるEmpresa Nacional de Telecomunicacionesを通じて販売したのであれば、短期間で1位を獲得できる可能性は十分にある。

そこで、Empresa Nacional de Telecomunicacionesの公式ウェブサイトを参照してみたが、FREETELブランドのスマートフォンは見当たらない。

1位を獲得するほどのスマートフォンが公式ウェブサイトに掲載されていないはずがないよな…

Plus One Marketingの発表会では1位を獲得した発表した際に、スライドにスマートフォンの画像が掲載されたのを思い出した。

発表会に参加したメディアがスライドの画像付きで報じているため、デザインを確認してみた。

参考:ケータイWatch

改めてEmpresa Nacional de Telecomunicacionesの公式ウェブサイトを確認すると、同社が取り扱うOWN Fun Plusと共通のデザインのように見える。

own

チリとペルーで売られるOWN Fun Plus

参考:Entel

そこで、OWN Fun Plusについて調査してみた。

OWN Fun PlusやOWN Fun+など表記の揺れがあるが、そこは無視しておく。

様々なスマートフォンのファームウェアが公開されているNeedromでOWN Fun Plusを確認すると、型番(モデル番号)はFTU161Gらしい。

しかも、ブランド名がFREETELと記載されており、Empresa Nacional de Telecomunicaciones向けであることも確認できる。

参考:Needrom

FTX***Xという型番規則、FREETELブランドの型番規則そのまま。

FTU161Gを検索してみると、FCCの認証に関する記事が出てきた。

すっかり忘れていたのであるが、筆者自身がFTU161Gの記事を書いていたらしく、OWN Fun Plusのペットネームにも言及していた。

参考:blog of mobile

FCCでは申請者がPlus One Marketingであり、資料にはトレードマークがOWNおよびFREETEL、モデルナンバーがOWN Fun+と記載されている。

また、実機画像も公開されており、筐体にはOWNブランドのロゴを確認できる。

資料からはOWNブランドでの展開を前提にPlus One MarketingがFCCの認証を申請したことが分かり、これでPlus One MarketingがOWN Fun Plusに関与したことは決定的。

OWNブランドの公式ウェブサイトを参照すると、Plus One Marketing以外にTCL Communication Technology Holdings (TCL通訊科技控股)など複数の企業がOWNブランドにスマートフォンを供給しているようである。

参考:OWN

チリで1位を獲得したのはPlus One Marketingが関与したスマートフォン限定なのか、それともOWNブランド全体なのか、という疑問が湧いてきたが、私にとってそれはもはやどうでもよい。

発表会のスライドではあたかもFREETELブランドが1位を獲得したように受け取れるが、1位を獲得したのはFREETELブランドではないはず。

しかも、OWNブランドは日本的要素がゼロ、日本メーカーだから食いついたというコメントも怪しい。

Plus One MarketingがOWNブランドにスマートフォンを供給した背景は気になるところ。

これまでより、FREETELブランドのスマートフォンは中国のShenzhen Toro-tech (深圳市図瑞科技)、Shenzhen Xing Fei Technology (深圳市興飛科技:X&F)、Nollec Wireless (北京景山創新通信技術)などのODM企業から調達し、FREETELブランドで販売していることが分かっている。

あくまでも推測ではあるが、FREETELブランドとOWNブランドを一括で調達して最低発注数量を満たすか調達コストを下げる狙いがあった可能性がある。

ちなみに、OWN Fun Plusと同一筐体のスマートフォンはFTX161Gの型番を持つはずなので調査してみると、ベトナムでFREETEL ICE2+ (FTJ161G-VN)が販売されている。

freetelce2plus

ベトナムで売られるFREETEL ICE2+

何が言いたいかという結論は特になく、

・チリで1位はFREETELブランドではない可能性大
・チリとペルーではOWNブランドに関与
・(元からよい印象はないが)調査するにつれて胡散臭さが増した

ということだけを、伝えておきたい。

(チリの件に言及があった発表会、案内が来ていたので取材に行くかどうか迷ったが、Plus One Marketingの発表会のためだけに関西から東京まで行くのは躊躇するところ。)

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