マレーシアでプリペイドSIMカード購入時の本人確認を厳格化

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マレーシアの政府機関で電気通信分野などを管轄するMalaysian Communications and Multimedia Commission (以下、MCMC)はガイドラインに基づいてプリペイドSIMカードの購入時における本人確認を厳格化する。

マレーシアではプリペイドでモバイル通信サービスを提供するすべての事業者に対して、本人確認書類の提示による実名登録を実施している。

テロや犯罪行為など国家安全保障上の問題に取り組む一環で、モバイル通信サービスの悪用を防ぐために2006年より実名登録を開始した。

国家安全保障上の意識に変わりはないが、パーソナライズされた付加価値サービスや利用が拡大するモバイルマネーをはじめとする金融サービスなど、モバイル通信サービスを通じて利用できるサービスが拡大しており、より適切な情報の登録を求めるという。

ガイドラインは2017年6月1日より順次運用しており、2018年1月1日までに完全に施行される予定で、2018年1月1日からは本人確認を厳格に運用することになる。

本人確認で登録する情報はマレーシア軍に所属する軍人を含めたマレーシア人および永住権保持者、外国人労働者や留学生などの在留外国人、外国人旅行者でそれぞれ異なる。

なお、滞在期間が3ヶ月未満の外国人が外国人旅行者に分類される。

登録する情報はそれぞれ下記の通りである。

■マレーシア人および永住権保持者
1. 本人確認書類記載のフルネーム
2. 本人確認書類記載の本籍地
3. 現住所
4. 本人確認書類の識別番号
5. 必要に応じて要求されるその他の情報

■在留外国人
1. 旅券記載のフルネーム
2. 旅券の番号
3. 旅券の発行国
4. 就労許可証記載の法人名と所在地または留学先所在地入りの学生証
5. 現住所
6. 必要に応じて要求されるその他の情報

■外国人旅行者
1. 旅券記載のフルネーム
2. ホテルまたは一時的な滞在場所の所在地
3. 旅券の番号
4. 旅券の発行国
5. 必要に応じて要求されるその他の情報

マレーシア人および永住権保持者と在留外国人の場合、現住所を確認する目的で1ヶ月以内に発行かつ現住所が記載された公共料金などの請求書を提示する必要がある。

公共料金などの請求書には、水、電気、ケーブルテレビや衛星テレビ、ブロードバンドサービスの請求書が含まれる。

外国人旅行者の場合、ホテルの予約確認書など滞在証明を提示する必要がある。

手続きには下記の本人確認書類の原本を持参するよう案内している。

■マレーシア人
国民登録管理局が発行したMyKad

■マレーシア軍所属の軍人
国民登録管理局が発行したMyTentera card

■永住権保持者
国民登録管理局が発行したMyPR card

■在留外国人
旅券と就労許可証または学生証

■在留外国人のうち難民認定者
国際連合難民高等弁務官事務所が発行したUNHCR Card

■外国人旅行者
旅券

手続きに係る手数料は無料で、本人が本人確認書類の原本を持参する必要があり、写しや代理人による登録は認められていない。

セキュリティの観点から従来の販売業者によるSMSでの手動登録は認められておらず、SMSでの手動登録は拒否するよう案内している。

販売業者はOptical Character Recognition (OCR)アプリケーション、Biometrics、MyKad Readerのように自動化されたプラットフォームを通じて登録する必要があり、消費者は直営店など信頼性の高い販売業者を選ぶようにしたい。

なお、2017年6月1日からはひとりあたりのプリペイドSIMカードの登録回線数を制限しており、1事業者あたり最大で5回線までとなった。

2017年5月末までに登録済みかつ有効期限内のプリペイドSIMカードは2017年6月1日以降も維持できるが、登録回線数を追加することはできない。

消費者から提供されるすべての情報は厳重に機密情報として取り扱い、消費者から提供された情報に虚偽が含まれる場合、事業者は直ちにサービスを終了しなければならないと定められている。

すべての消費者は第三者による個人情報の不正使用を防ぐために、個人情報の共有には十分に注意するよう案内している。

これまでも、一部の販売業者は外国人旅行者に対して滞在証明の提示を要求していたが、2018年1月1日から義務化となる。

一般的に外国人旅行者は旅券と滞在証明を準備すれば問題なく、外国人旅行者以外は本人確認書類などに不備がないよう注意したい。

MCMC