朝鮮民主主義人民共和国で携帯電話サービスの開始から15周年を迎える
- 2017年11月11日
- DPRK
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)で携帯電話サービスの開始から15周年の節目を迎えた。
北朝鮮では羅先特別市で設立された「North East Asia Telephone and Telecommunications Co., Ltd. (東北アジア電話通訊会社:以下、NEAT&T)」がブランド名を「SUNNET」として初めて携帯電話サービスを商用化した。
NEAT&Tは首都・平壌直轄市と羅先特別市で2002年11月11日に第2世代移動通信システム(2G)で携帯電話サービスを開始し、通信方式および周波数はGSM方式の900MHz帯を運用していた。
2004年5月24日に携帯電話サービスを終了したが、北朝鮮国営の「Korea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)」がNEAT&Tの通信設備を利用し、NEAT&Tの支援を受けて高官や駐朝外国人向けに引き続き「SUNNET」として限定的な携帯電話サービスを提供したものの、2010年末までに携帯電話サービスを終えた。
一方、2008年12月15日からは「CHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO)」がブランド名を「koryolink (高麗網)」として一般向けに携帯電話サービスを開始した。
北朝鮮で初めて第3世代移動通信システム(3G)を導入しており、通信方式および周波数はW-CDMA方式の2.1GHz帯(Band I)である。
CHEOは収益性の高い主要都市を中心に携帯電話サービスを展開したが、収益性が高くない地方都市でも携帯電話サービスを導入するために、KPTCはブランド名を「KANGSONG NET (強盛網)」として携帯電話サービスの開始を決めた。
KANGSONG NETの携帯電話サービスで利用する通信方式および周波数はW-CDMA方式の2.1GHz帯(Band I)で、2012年に試験的な運用を開始しており、2013年から2014年にかけて携帯電話サービスを本格化した。
2017年11月時点ではkoryolinkとKANGSONG NETの携帯電話サービスが運用されており、それぞれ提供エリアが異なるため、相互に国内ローミングを受け入れるなど協力している。
地方都市ではkoryolinkからKANGSONG NETへの置き換えが進むなど、KANGSONG NETの事業規模は拡大傾向にある。
携帯電話サービスを終了したNEAT&Tは羅先特別市に限定してKANGSONG NETの代理店事業を手掛ける。
なお、NEAT&TはタイのLoxpac (Thailand)とKPTCの合弁会社で、出資比率はLoxpac (Thailand)が70%、KPTCが30%、KPTCは北朝鮮の政府機関で電気通信分野などを管轄する逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が所有し、出資比率は逓信省が100%、CHEOはエジプトのOrascom Telecom Media and Technology HoldingとKPTCの合弁会社で、出資比率はOrascom Telecom Media and Technology Holdingが75%、KPTCが25%となっている。
本社機能の所在地はNEAT&Tが羅先特別市、KPTCとCHEOが平壌直轄市である。
2017年9月11日に採択された国際連合安全保障理事会の決議第2375号(2017年)で北朝鮮における合弁事業が原則として禁じられたが、KPTCは単独で主体的に携帯電話サービスを提供する能力を保有しており、KPTCを中心として北朝鮮における携帯電話分野のさらなる発展に期待したい。
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