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HONORスマホ、ファーウェイから独立で米クアルコムと協業実現



中国のHonor Device (栄耀終端)は米国のQualcommの子会社で同国のQualcomm TechnologiesからQualcomm Snapdragonシリーズのチップセットを採用する。

Honor Deviceが発売するHONOR 50シリーズのスマートフォンでQualcomm Technologiesが開発したQualcomm Snapdragon 778G 5G Mobile Platformを採用することが確定した。

Honor Deviceにとって初めてQualcomm Technologiesと協業することになるが、Honor DeviceとQualcomm Technologiesの協業を実現させた背景を解説したい。

Honor DeviceはHONORの商標を使用してスマートフォンをはじめとした携帯端末などを開発および販売する事業(以下、HONOR事業)を主要事業とする。

HONOR事業は過去に中国のHuawei Investment & Holding (華為投資控股)の子会社で中国のHuawei Technologies (華為技術)およびHuawei Device (華為終端)が担当していた。

しかし、Huawei TechnologiesおよびHuawei Deviceは米国政府の制裁の影響で、米国の主要な事業会社から半導体などの調達が困難となった。

Huawei TechnologiesおよびHonor Deviceは米国の政府機関である商務省(Department of Commerce:DOC)傘下の産業安全保障局(Bureau of Industry and Security:BIS)より2019年5月16日付けでEntity Listの指定を受けた。

Entity Listの指定を受けた事業体に輸出管理規則(Export Administration Regulations:EAR)の対象品目を供給する場合はライセンスの取得が必須であるが、原則としてライセンスの取得の申請は却下される。

米国原産の二重用途の材料や部品など汎用品、ソフトウェア、特許を含めた技術、もしくはこれらが価値ベースで一定以上の割合で含まれる製品が輸出管理規則の対象品目となるが、産業安全保障局は2020年8月17日からHuawei TechnologiesおよびHonor Deviceに対する適用範囲を拡大し、半導体の調達がより困難となるよう変更した。

米国政府の制裁を受けてHuawei TechnologiesおよびHuawei DeviceはQualcomm Technologiesと取引が困難となり、Qualcomm Technologies以外の事業会社からも半導体の調達に影響が生じている。

Huawei TechnologiesおよびHuawei Deviceなどを含めたHuawei Groupの主要事業は運営商業務、企業業務、消費者業務に分けられ、Entity Listに指定された原因は運営商業務の事業が中心となっていた。

したがって、消費者業務に含まれるHONOR事業は外部に譲渡すれば事業を継続できると考えられた。

Huawei TechnologiesおよびHuawei Deviceはスマートフォンの新機種および販売台数が減少する中で、規模を維持したうえでHONOR事業を存続させるためにHONOR事業を譲渡することを決定した。

そして、Huawei TechnologiesおよびHuawei Deviceが担当するHONOR事業をHuawei Investment & Holdingが新設したHonor Deviceに移管し、HONOR事業を承継したHonor Deviceを中国のShenzhen Zhixin New Information Technology (深圳市智信新信息技術)に売却する方法でHONOR事業を譲渡することになった。

米国政府による制裁にも複数の種類が存在し、米国の政府機関である財務省(Department of the Treasury)傘下の外国資産管理局(Office of Foreign Asset Control:OFAC)による特別指定国民(SDN)リストの場合は、対象者として記載されていない場合でも対象者の実質的な支配先はすべて対象者とみなされるが、Entity Listはそうではない。

Huawei Investment & Holding、Huawei Technologies、Huawei Deviceは特別指定国民リストの指定は受けておらず、また2020年4月1日に設立されたHonor Deviceは個別にEntity Listの指定を受けていないため、厳密にはHonor Deviceは設立当初より米国の事業会社と取引は可能であるが、新会社を通じて事業を行えばすぐにEntity Listに追加されることは容易に予想できる。

そのため、Honor Deviceを設立後すぐにHONOR事業を移管することはなく、Shenzhen Zhixin New Information TechnologyとHuawei Investment & HoldingがHONOR事業の譲渡に関して合意後にHONOR事業をHonor Deviceに移管し、すぐにHonor Deviceの経営権をShenzhen Zhixin New Information Technologyに譲渡した。

このようにHONOR事業はEntity Listの対象者であるHuawei TechnologiesおよびHuawei Deviceから独立したため、Qualcomm Technologiesと協業が可能となった。

なお、Honor Deviceを取得したShenzhen Zhixin New Information TechnologyはHonor Deviceの親会社ではあるが、HONOR事業の運営主体となる事業会社はHonor Deviceであり、Shenzhen Zhixin New Information Technologyではないことを留意しておきたい。

過去にHONORのスマートフォンでQualcomm Snapdragonシリーズのチップセットを採用した実績があるため、HONOR事業としてはQualcomm Technologiesと協業を再開し、Honor Deviceの会社としては初めてQualcomm Technologiesと協業することになる。

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