iPhone 11 ProでレバノンのAlfaが提供するeSIMを試す
- 2020年01月05日
- Report
レバノンに渡航して同国の移動体通信事業者(以下、MNO)でAlfaのブランドで展開するMobile Interim Company 1 (以下、MIC1)のeSIMを試したので紹介する。
レバノンのMNOはMIC1とtouchのブランドで展開するMobile interim company no.2 (MIC2)の2社であるが、このうち筆者が渡航した2019年12月下旬時点ではMIC1のみがeSIMを提供している。
MIC1のAlfaでは2019年3月よりポストペイドとプリペイドの両方でeSIMを提供しており、短期滞在者でもプリペイドで気軽にeSIMを利用できる。
米国のAppleは2018年に発売したiPhoneから一部のモデルを除いてeSIMに対応させている。
筆者はApple iPhone XSでは複数の通信事業者のeSIMを試したが、Apple iPhone 11 Proを購入後はeSIMを使用しておらず、この機会にApple iPhone 11 ProでもeSIMを試してみることにした。
なお、筆者が所有するApple iPhone 11 ProはApple Kyoto (Apple 京都)で購入した日本向けでSIMロックフリーのApple iPhone 11 Proで、型番はAlfaでも取り扱うレバノン向けのApple iPhone 11 Proと共通のA2215である。
■eSIMはプリペイドで利用可能
Alfaではポストペイドとプリペイドの両方でeSIMを提供している。
eSIMを開通する場合、プリペイドであれば3米ドル(約320円)、ポストペイドであれば50米ドル(約5,400円)の開通費が発生する。
ただ、eSIMの開通費は物理的なSIMカードで新規契約時に発生するSIMカード代と共通で、開通に係る費用はeSIMも物理的なSIMカードも差はない。
既存のポストペイドまたはプリペイドの物理的なSIMカードからeSIMに変更する場合は1度限りの変更費として5米ドル(約540円)が発生するため、プリペイドで電話番号の維持が不要な場合は物理的なSIMカードからeSIMに変更するより、eSIMで開通した方が安く済むことになる。
筆者は短期滞在のためプリペイドでeSIMを利用したが、すべてのプリペイド向けプランでeSIMを利用できるわけではない。
プリペイド向けプランではAlfa PrepaidがeSIMに対応するとのことで、筆者はAlfa Prepaidに加入した。
なお、Alfaではプリペイド向けにAlfa PrepaidやAlfa365など様々なプランを提供しているが、例えばAlfa365はeSIMに非対応という。
プランの名称が少し紛らわしいかもしれないが、Alfa PrepaidはAlfaで提供するすべてのプリペイド向けプランを指すわけではなく、Alfaで提供するプリペイド向けプランのひとつである。
Alfaの公式ウェブサイトには付加価値税(以下、VAT)別の金額が記載されているが、レバノンでは携帯電話サービスは11%のVATの課税対象であり、実際の支払額はVAT込の金額になるため注意しておきたい。
筆者はAlfa Prepaidに加入したため、領収書にはVAT込で3.33米ドル(約360円)または5,044.95レバノンポンドと記載されていた。
支払いはクレジットカードのほか、現金であれば米ドル(USD)およびレバノンポンド(LBP)を受け付ける。
1米ドルは1,515レバノンポンドで計算されているが、為替レートはレバノンポンド下落などで変更される場合がある。
Alfa Prepaidは開通から10日間有効の3米ドル分が初期残高となり、音声通話やSMSなどで利用できる。
追加でリチャージしてオプションに加入するとデータ通信なども利用できるため、必要に応じて柔軟に使える。
■eSIMは店舗に制限も
MIC1はAlfa Storeとしてキャリアブランドの店舗を展開しているが、キャリアブランドの店舗以外の認定を受けた正規取扱店でもSIMカードを販売している。
ただ、eSIMは物理的なSIMカードとは異なり、Alfa Storeのみで受け付けている。
Alfa StoreではeSIMの開通に先立ち、Apple iPhone 11 ProでeSIMの設定画面を表示するよう求められた。
端末側が確実にeSIMに対応していることを確認してから、開通手続きに入るよう運用していた。
なお、SIMロックはeSIMも対象となるため、日本を中心にSIMロックがかけられたiPhoneでeSIMを利用する場合は、先にSIMロックを解除しておく必要がある。
レバノンではSIMロックはあまり一般的ではなく、Alfa StoreでSIMロックフリーであることの確認は行われなかった。
レバノンではプリペイドとポストペイドともに携帯電話回線の契約には本人確認書類の提示による実名登録が必須で、実名登録の手順はeSIMと物理的なSIMカードに差はない。
本人確認書類は旅券の提示で問題なく、ほかに顔写真の撮影、両親の氏名、レバノン国内の滞在場所も提示を求められた。
レバノン国内の滞在場所は宿泊するホテルで問題ないが、宿泊する部屋の階まで聞かれる場合があった。
■標準規格のeSIMを採用
iPhoneのeSIMは業界団体のGSM Association (GSMA)の標準規格であるリモートSIMプロビジョニング(以下、RSP)に準拠しており、AlfaでもRSPに準拠したeSIMを採用している。
AppleはiPhone のeSIMに対応する通信事業者の一覧を公表しているが、2019年12月末時点でAlfaは一覧に含まれていない。
Appleが公式に案内するiPhone向けにeSIMを提供する通信事業者でなくとも、標準規格のRSPに準拠したeSIMであることから、eSIMの導入に際してAppleとの協力が不要で、通信事業者にとっては容易に導入できる。
RSPに準拠したeSIMを採用した端末はiPhone以外にも存在するが、AlfaはiPhone向けと称してeSIMを提供している。
AlfaではeSIMのQRコードを記載したプラスチックのカードを用意しており、そのQRコードを読み取ってApple iPhone 11 Proにプランを追加した。
プランの追加に際してインターネット接続環境が必要であるが、Alfa Storeで提供する無線LANに接続してプランの追加を進めた。
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Apple iPhone 11 ProとAlfaのeSIMのカード
■手軽に利用できるeSIM
Alfaでは短期滞在者でも3.33米ドルからと低廉かつ手軽にeSIMを体験できる。
物理的なSIMカードのように差し替えができないため、電池残量がなくなるとほかの端末にSIMカードを差し替えるような使い方はできず多少の不便は感じたが、それ以外は物理的なSIMカードと同じように使えた。
レバノンに渡航時はAlfaのeSIMを利用するのも悪くない選択肢である。
手軽に利用できるeSIMであるが、Alfaでは1の旅券で開通できる回線数がプリペイドで8回線まで、ポストペイドで2回線までに制限されている。
短期滞在であれば開通枠が上限に達することはまずないと思われるが、開通枠は気に留めておきたい。
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