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高麗網から強盛網に切り替えた北朝鮮・羅先特別市で知る高麗網

  • 2021年01月03日
  • DPRK


これまで、数年にわたり海外で携帯電話事情を現地了解するために年に数度は海外に渡航してきたが、2020年は久しぶりに海外に渡航できない年となった。

2020年は海外で携帯電話事情を現地了解できなかったが、年始の期間にこれまで訪問した都市の中から印象的な都市や出来事を時間が許す限り執筆しようと思う。

今回も2021年1月1日に公開した記事に続けて、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の羅先特別市を取り上げたい。

北朝鮮の携帯電話の原点、羅先特別市

羅先特別市は日本人の訪問者が極めて少なく、日本語を話せる案内人も少ない。

筆者に同行した2名の案内人のうち1名は日本語をまったく話せず、朝鮮語または英語で意思疎通する必要が生じたが、それが良い結果を導いた。

訪朝時は可能な限り携帯電話事業者の担当者はもちろんのこと、案内人や運転手など異なる職業、立場、年齢の携帯電話の利用者にも携帯電話事情を直接尋ねるよう心掛けている。

羅先特別市では行動を終始ともにした日本語を話せない案内人も携帯電話事情を教えてくれたが、「コリョネット」がKANGSONG NETに切り替えられたと説明してくれた。

北朝鮮の携帯電話事情は過去から最新の状況まで把握するよう努めており、羅先特別市ではKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)がKANGSONG NETとして携帯電話サービスを提供していることは事前に把握できていたが、「コリョネット」は初めて聞いた。

しかし、「コリョネット」は「高麗網(고려망)」を意味するのではないかと推測し、朝鮮語で「高麗網」のことかと尋ねると、その通りだという。

CHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO)はkoryolinkとして携帯電話サービスを提供しており、koryolinkは高麗リンクを意味するが、漢字語で表現した朝鮮語の名称として高麗網も使用される。

また、KANGSONG NETは朝鮮語の名称が強盛網(강성망)となり、強盛がKANGSONG、網がNETに相当する。

案内人はkoryolinkを高麗網として認識し、KANGSONG NETおよび強盛網と同じ要領で高麗をkoryo、網をnetと英訳してコリョネットと表現したものと瞬時に気付いて確認したところ、それが完全に正解だった。



高麗網と表示される北朝鮮のスマートフォン

このあと、日本人の筆者がkoryolinkおよび高麗網の呼称を案内人に説明することになったが、それはさておき、ほかの案内人などの証言も総合すると羅先特別市では少なからず高麗網の呼称を認知していてもkoryolinkの呼称をまったく認知していない者が存在することが分かった。

なお、高麗網の呼称が一般的に使用される前からkoryolinkの携帯電話サービスが普及していた首都・平壌直轄市は羅先特別市とは逆で、koryolinkの呼称を認知していても高麗網の呼称を認知していない者が少なくない印象を受けた。

筆者は先に訪問した平壌直轄市で高麗網の呼称を十分に把握していたため、仮に羅先特別市で日本語を話せる案内人が高麗網と表現しても特に違和感を覚えることなく話を進めていたかもしれない。

koryolink、高麗網、KANGSONG NET、強盛網の呼称に関する情報を事前に把握し、さらに簡単な朝鮮語や英語で意思疎通できることも大前提となるが、日本語を使えない環境がkoryolinkおよび高麗網の呼称における認知度の地域差を把握することに貢献した。

会話の中で様々なことに気付き、正確ではない内容から正解に辿り着けるだけの情報を有することも必要となるが、実際に訪問して話を聞くことの大切さを感じた。

また、一部の地域でkoryolinkは携帯電話番号帯から191と呼称される場合があるが、複数の呼称の存在と各々の認知度を勘案して191の呼称も使用されると解釈できる。

KANGSONG NETを提供するKPTCは北朝鮮の政府機関で通信分野などの規制を司る逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が完全所有する国営企業で、KANGSONG NETは実質的に北朝鮮政府直営の携帯電話サービスとなっている。

一方、koryolinkを提供するCHEOはエジプトのOrascom Investment Holding S.A.E. (以下、OIH)とKPTCが出資して設立した外国人投資法に規定される合作企業で、OIHの意向を受けてkoryolinkの整備は平壌直轄市など比較的大規模な主要都市に限定する方針に変更した。

そのため、一部の地域ではkoryolinkからKANGSONG NETに切り替えたほか、koryolinkを整備しない都市や山間部などではKANGSONG NETを整備し、さらにkoryolinkとKANGSONG NETは相互に国内ローミングを受け入れて提供エリアを補完している。



逓信省のロゴが入るKANGSONG NETのSIMカード

過去に一部の地域でkoryolinkの携帯電話サービスの利用が不可となり、撤退の観測まで報道されたこともあるが、koryolinkからKANGSONG NETに切り替えた地域ではkoryolinkが撤退したように見えるため、そこから撤退の観測が生じたと考えられる。

筆者が訪問した時点で羅先特別市にkoryolinkは存在しなかったが、そんな羅先特別市を訪問することでKANGSONG NETに加えてkoryolinkの状況もより深く理解することができた。

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