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フランスのOrangeがFreeと5Gネットワーク共有協議を中止、700MHz帯中心に不満か



フランスの移動体通信事業者(MNO)であるOrangeは同国の移動体通信事業者であるFree Mobileとネットワークの共有に関する協議を終了したと発表した。

Orangeは2020年10月に完了した第5世代移動通信システム(5G)向け周波数の割当に続いて、5Gの整備を効率化する目的でFree Mobileとネットワークの共有に向けて協議を開始していた。

しかし、Orangeは方針に相違があることを理由として、協議の終了を決定したと案内している。

また、Orangeはネットワークの品質を優先する方針を明確化し、Orangeのモバイルネットワークはフランスの政府機関によって10年連続で最高のモバイルネットワークとして認められているとネットワークの品質を重視する姿勢を強調した。

5Gの導入当初よりOrangeとFree Mobileの間には整備の方針に大きな溝があることが分かっていた。

Free Mobileは自社の5Gネットワークをフランス最大と主張するが、Orangeの最高経営責任者は特定の社名を指定せずに、5Gでは3.5GHz帯の周波数を選択しており、ほかの周波数を使用して5Gの人口カバー率を主張できるのであれば残念と述べた。

フランスでは5G向け周波数として3.5GHz帯の割当を実施したが、Free Mobileは第4世代移動通信システム(4G)向けの700MHz帯を中心に5Gの整備を進めており、Orangeの最高経営責任者の発言は事実上のFree Mobileに対する批判と受け止められている。

Orangeは4G向けの2.1GHz帯も5Gで使用しているが、原則として3.5GHz帯を中心に5Gを整備する姿勢である。

フランスの政府機関が公開したフランス大都市圏における5G基地局の設置許可数を参照すると、2021年1月7日時点でOrangeの2.1GHz帯が728局、3.5GHz帯が1,309局、Free Mobileの700MHz帯が12,894局、3.5GHz帯が941局となっている。

Orangeは3.5GHz帯が64.3%と過半を占めるが、Free Mobileは700MHz帯が93.2%と大半を占める状況で、両社の姿勢は公的機関が公開した情報を参照しても明らかである。

3.5GHz帯の帯域幅はOrangeが90MHz幅、Free Mobileが70MHz幅を確保しており、高速通信を比較的実現しやすいが、カバレッジは限定的となる。

一方、Free Mobileが保有する700MHz帯の帯域幅は10MHz幅*2にとどまり、さらに4GのLTE方式と5GのNR方式で動的に周波数を共有するダイナミックスペクトラムシェアリング(DSS)を実装している。

700MHz帯は1局でカバーできる範囲は広いが、1局当たりのカバレッジの広さとダイナミックスペクトラムシェアリングによる制御信号の影響で高速通信の実現は難しく、ダイナミックスペクトラムシェアリングは4Gの通信速度にも影響を与える。

700MHz帯の場合は5GCを導入してNR方式のスタンドアローン(SA)構成で運用すれば低遅延など5Gの特徴を実現しやすくなるが、基本的に広い帯域幅を使用して高速通信を実現するノンスタンドアローン(NSA)構成では5Gの特徴を生かすことは難しい。

このような状況で、Orangeとしては700MHz帯を中心に5Gの整備を進め、既存の4Gの顧客に影響を与えるほか、さらにフランス最大の5Gネットワークを主張するFree Mobileの姿勢を許容できなかったと思われる。

いずれは4G向け周波数でも5Gを導入することになり、それは決して悪いことではなく、むしろ多様なユースケースに対応するためには必要なことで、要するにタイミングが重要と言える。

そのタイミングは周波数の使用状況など各移動体通信事業者固有の状況を考慮する必要があり、最適なタイミングは移動体通信事業者によって異なると考えている。

Orange

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