韓国政府、28GHz帯の5G構築に向けた専門担当班を発足
- 2021年03月17日
- 海外携帯電話
韓国の政府機関で電気通信分野などの規制を司る科学技術情報通信部(Ministry of Science and ICT:MSIT)は28GHz帯の周波数を使用した第5世代移動通信システム(5G)の効率的な構築に向けた専門担当班を発足したと発表した。
科学技術情報通信部は韓国の移動体通信事業者(MNO)に5G用として28GHz帯の割当を実施したが、韓国の移動体通信事業者は28GHz帯の5Gを導入していないため、政府機関、移動体通信事業者、業界団体などが参加して効率的に28GHz帯の5Gを構築するために協議する機会を設けることになった。
韓国の移動体通信事業者であるSK Telecom、KT Corporation、LG U+として事業を行うLG Uplusが2018年6月に5G用として28GHz帯をそれぞれ800MHz幅ずつ取得し、2018年12月1日から5Gで28GHz帯を使用できる。
有効期間は2018年12月1日から2023年11月30日までの5年間と規定されており、すでに有効期間の45%が経過したが、SK Telecom、KT Corporation、LG Uplusいずれも28GHz帯の5Gを導入していない状況にある。
科学技術情報通信部は2021年2月にSK Telecom、KT Corporation、LG Uplusの代表者と懇談会を開催し、28GHz帯の5Gを効率的に整備する必要があるとの見解で一致したため、業界団体も含めた専門担当班を発足することを決定した。
専門担当班には科学技術情報通信部、SK Telecom、KT Corporation、LG Uplusのほかに端末や基地局設備の企画、設計開発、製造などを行う韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)、韓国電子通信研究院(Electronics and Telecommunications Research Institute:ETRI)、韓国情報通信技術協会(Telecommunications Technology Association:TTA)、韓国知能情報社会振興院(National Information Society Agency:NIA)、情報通信企画評価院(Institute of Information & Communications Technology Planning & Evaluation:IITP)も参加する。
2021年3月12日には発足会議を開催しており、韓国以外の構築動向、移動体通信事業者別の試験の推進計画、28GHz帯の5Gに対応した端末や基地局設備の共同検証、28GHz帯の5Gの構築方針などを協議したという。
なお、28GHz帯を含めてミリ波(mmWave)の周波数は世界の複数の国と地域で5G用に割当が実施されているが、携帯通信用途で商用化した事例は世界的にも数例にとどまる。
2019年4月3日にVerizon Wirelessとして事業を行う米国のCellco Partnership、2019年6月17日に米国のAT&T Mobility、2019年6月28日に米国のT-Mobile USA、2020年5月26日に豪州のTelstra、2020年9月17日にKDDI、2020年9月23日にNTT DOCOMO、2020年9月30日にRakuten Mobile (楽天モバイル)がミリ波の5Gを導入した。
SoftBankは2021年3月19日、サービスエリアマップを参照するとOkinawa Cellular Telephone (沖縄セルラー電話)は2021年春以降にミリ波の5Gを導入する予定である。
ただ、Telstraの場合は試験用の周波数を3ヶ所に限り一般顧客も利用できるよう特別な許可を取得しており、正式に割当を受けた周波数ではない。
豪州では2021年4月にミリ波の周波数を割当する方向で準備を進めている。
台湾のAsia Pacific Telecom (亞太電信)も2020年10月22日よりミリ波の5Gを使用しているが、携帯通信用途とは言い難い状況にある。
Asia Pacific Telecomは5G用にミリ波の周波数を取得した一方で、サブ6GHz帯の周波数は取得を断念したが、台湾のFar EasTone Telecommunications (遠傳電信)と周波数の共有で合意したため、Far EasTone Telecommunicationsが割当を受けたサブ6GHz帯の周波数を中心に使用する方針である。
台湾の政府機関で電気通信分野などの規制を司る国家通訊伝播委員会(National Communications Commission:NCC)より周波数の共有の許可を取得する前に5Gの提供を開始するために、まずはFar EasTone Telecommunicationsから卸提供を受ける仮想移動体通信事業者(MVNO)として5Gを提供しているが、自社の5G用の周波数も使用する必要があることから、5Gの加入者に対してミリ波の5Gを経由した無線LANを店舗など一部の場所で提供している。
台湾ではミリ波の5Gに対応した携帯端末が正規に流通していないため、事実上の固定通信用途に相当する運用を余儀なくされている。
このような状況から、ミリ波の5Gを携帯通信用途で正式に商用化した事例は世界的にも日米のわずか6社となっている。
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