シンガポールのTPG Telecomが5Gトライアルを開始、n257とn258は対応端末なし
- 2021年09月18日
- 海外携帯電話
豪州(オーストラリア)のTuasの完全子会社でシンガポールの移動体通信事業者(MNO)であるTPG Telecomは第5世代移動通信システム(5G)のトライアルを開始した。
シンガポールの政府機関で電気通信分野などの規制を司る情報通信メディア開発庁(Info-communications Media Development Authority:IMDA)が既存の周波数を使用して5Gのトライアルを提供することを承認したため、2021年9月10日から2021年12月31日まで期間限定で5Gのトライアルを提供する。
5Gのトライアルは一般の加入者も利用が可能で、プリペイド回線の加入者を除くすべての加入者を対象として自動的に5Gを有効化している。
5GのトライアルはChangi Airport Jewel、Great World City、Paya Lebar Quarter、The Shoppes at Marina Bay Sands、VivoCityの5ヶ所の商業施設が提供エリアとなる。
5Gの通信方式はNR方式を採用しており、無線アクセスネットワーク(RAN)構成は第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成で運用する。
周波数はサブ6GHz帯の2.3GHz帯とミリ波(mmWave)の26GHz帯および28GHz帯である。
2.3GHz帯は4G向けに割当を受けた周波数で、すでにLTE方式で使用を開始しており、帯域幅は2300~2340MHzの40MHz幅となっている。
標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)では3GPP Release 17で2.3GHz帯のダイナミックスペクトラムシェアリング(DSS)の標準化を進めているため、DSSは採用していない。
LTE方式で使用を開始していない地域でNR方式を導入またはLTE方式から転用したと考えられる。
26GHz帯および28GHz帯は5G向けに割当を受けた周波数となり、帯域幅は26GHz帯が26300~26700MHzの400MHz幅で、28GHz帯が29100~29500MHzの400MHz幅である。
NR Bandは2.3GHz帯がFR1のn40、26GHz帯がFR2のn258、28GHz帯がFR2のn257で、下りの通信速度はn40で最大260Mbps、ミリ波で最大2Gbpsと案内している。
対応機種としてスマートフォンを用意しているが、中国のHuawei Technologies (華為技術)製のHUAWEI Mate 40 Pro、中国のvivo Mobile Communication (維沃移動通信)製のvivo X60およびvivo Y72 5Gの3機種にとどまる。
3機種ともn40には対応しているが、n257およびn258には対応しないため、公式なミリ波の対応機種は存在しないことになる。
シンガポールでは情報通信メディア開発庁が5G向け周波数として3.5GHz帯およびミリ波の割当を実施したが、TPG Telecomは3.5GHz帯の取得に失敗した。
3.5GHz帯では2021年1月1日以降にNR方式が単独で動作するスタンドアローン(SA)構成で5Gを商用化することに加えて、屋外カバレッジは2022年12月31日までに75%、2024年12月31日までに95%が整備義務として設定されている。
ミリ波では2020年11月2日から2021年11月1日までに割当を受けた全部または一部の周波数を使用して5Gの提供を開始し、SA構成のエコシステムの準備が完了してから24ヶ月以内にSA構成を導入するよう定められている。
ミリ波はNSA構成でも運用が許可されているほか、屋外カバレッジの条件は設定されていないが、シンガポールではミリ波を利用できる端末が正規に流通していないため、シンガポールの移動体通信事業者はミリ波で5Gを提供できない。
TPG Telecomは3.5GHz帯を運用することもできないため、既存の周波数で最も帯域幅が広い2.3GHz帯を5Gの周波数として選択した。
なお、Rakuten Mobile (楽天モバイル)はTPG Telecomに5Gに関連した技術を提供することを正式に発表している。
スポンサーリンク