MVNOが100%の国、ブルネイ・ダルサラーム
ブルネイ・ダルサラームは世界的に珍しい携帯通信サービスの契約数の市場占有率で仮想移動体通信事業者(MVNO)が100%の国である。
参考までに、総務省(Ministry of Internal Affairs and Communications:MIC)が公表した資料によると、日本では2023年12月末時点で仮想移動体通信事業者の占有率は約15%となっている。
ブルネイ・ダルサラーム政府は携帯通信分野で単一卸売網(Single Wholesale Network:SWN)を採用したため、卸売専業の移動体通信事業者(MNO)でUNNとして携帯通信事業を行うUnified National Networksがブルネイ・ダルサラームで唯一の携帯通信網の構築を担い、仮想移動体通信事業者に卸提供する。
ブルネイ・ダルサラームの仮想移動体通信事業者はDSTとして携帯通信事業を行うDatastream Digital、Progresif、Imagineの3社で、携帯通信サービスに加入する場合はDatastream Digital、Progresif、Imagineから選択する必要がある。
卸売専業のUnified National Networksには加入できないため、ブルネイ・ダルサラームでは携帯通信サービスの契約数の市場占有率で仮想移動体通信事業者が100%となる。
単一卸売網の運用を継続する国はブルネイ・ダルサラーム、マレーシア、ベラルーシの3か国であるが、マレーシアは第5世代移動通信システム(5G)、ベラルーシは第4世代移動通信システム(4G)に限定して単一卸売網を採用しており、マレーシアとベラルーシでは単一卸売網の対象とする通信世代以外は卸売専業の移動体通信事業者以外にも携帯通信網の構築を認めている。
一方、ブルネイ・ダルサラームではすべての通信世代で単一卸売網を採用するため、移動体通信事業者は卸売専業のUnified National Networksの1社で、携帯通信サービスは仮想移動体通信事業者で加入することが唯一の選択である。
このような状況から、携帯通信サービスの契約数の市場占有率でブルネイ・ダルサラームは世界で最も仮想移動体通信事業者の比率が高く、世界で唯一の100%の国と言える。
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