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楽天モバイルのSIMカードとRakuten Linkの端末を分離、海外SIMカードでも利用可能



Rakuten Mobile (楽天モバイル)は2020年4月8日に移動体通信事業者(MNO)として提供する楽天回線の携帯通信サービスを商用化した。

筆者の手元には2020年4月8日にRakuten MobileのSIMカードが届き、同日よりRakuten Mobileが移動体通信事業者として提供する携帯通信サービスを使用している。

Rakuten MobileはRakuten Linkの利用を推奨しているため、Rakuten Linkで様々なことを試してみた。

検証時のRakuten Linkのバージョンは1.3.4である。

まず、Rakuten Linkを利用するためにはRakuten Linkの初期設定(以下、アクティベーション)が必要となる。

Rakuten Linkのアプリケーションを起動し、各種協力に関して承認、楽天アカウントへログイン、端末内の各種ファイルへのアクセスを許可、Rakuten Mobileの携帯電話番号を入力して送信、受信したSMSに記載の認証コードを入力(以下、SMS認証)、これらの過程を実施するとアクティベーションを完了できる。

基本的にRakuten MobileとしてはRakuten MobileのSIMカードを装着した端末でRakuten Linkを利用することを想定していると思われるが、今回はRakuten MobileのSIMカードを装着した端末とRakuten Linkを利用する端末を分離してみた。

なお、複数の端末で同じ楽天アカウントを使用してRakuten Linkのアクティベーションを試みると、最後にアクティベーションした端末のみ「Available」の状態となり、それ以外の端末では「Unavailable」の状態となる。

Availableの状態のみRakuten Linkを利用できるため、以下からRakuten Linkの状態は特に記載がない限りRakuten Linkの状態はAvailableである。

また、Rakuten Linkの利用にはインターネット接続が必要であるため、端末の電源はONかつインターネット接続を利用できる状態であることも前提とする。

筆者が契約したRakuten Mobileの回線は1回線のみであり、言及するRakuten Linkはその回線の電話番号でSMS認証を実施している。

詳細は後述するが、Rakuten Linkを正常に利用できない機種が存在するため、Rakuten LinkはRakuten Mobileが公式に楽天回線の対応機種と指定する機種を用いた。

Rakuten Linkを様々な条件で試すために、下記の端末を用意した。

– 端末A
SIMカード:Rakuten Mobile (LTE接続)
Rakuten Link:なし

– 端末B
SIMカード:なし (無線LAN接続)
Rakuten Link:あり

– 端末C
SIMカード:KDDI (LTE接続)
Rakuten Link:あり

– 端末D
SIMカード:StarHub Mobile (LTE接続)
Rakuten Link:あり

– 端末E
SIMカード:NTT DOCOMO (LTE接続)
Rakuten Link:なし

StarHub Mobileはシンガポールの移動体通信事業者で、日本国内では国際ローミングの状態で使用している。



Rakuten Linkをインストールした端末D

■検証1 (端末分離)

Rakuten MobileのSIMカードを装着した端末とRakuten Linkを利用する端末を分離した際に、どちらの端末で着信を受けるか確認するため、端末A、端末B、端末Eを用意して端末EからRakuten Mobileの電話番号に発信した。

着信は端末Bで受けたため、Rakuten Linkで着信を受けたことになる。

ほかに端末A、端末C、端末Eを用意した場合、端末A、端末D、端末Eを用意した場合に端末EからRakuten Mobileの電話番号に発信しても、それぞれ端末Cと端末Dで着信を受けることを確認できた。

SIMカードの通信事業者どころか、SIMカードの装着に関係なく、Rakuten Linkで優先的に着信を受けると分かる。

したがって、SIMカードなしで無線LAN接続の場合や他社のSIMカードを装着する場合など、いずれもインターネット接続が可能な環境であれば、Rakuten Linkで着信を受けることができる。

■検証2 (番号通知)

様々な条件でRakuten Linkを使用する端末から端末Eに発信したところ、端末E側で着信時に発信元の電話番号が通知される場合と、発信元の電話番号が通知されずに「Private number」と表示される場合があった。

電話番号の通知状況は下記の通り。※発信側→着信側:通知状況

端末A→端末E:発信元電話番号通知
端末B→端末E:Private number
端末C→端末E:発信元電話番号通知
端末D→端末E:発信元電話番号通知

端末A、端末C、端末DはLTE接続でモバイルデータ通信をONの状態を維持し、そのうえで端末A以外は無線LAN接続にすると下記の通りである。

端末A→端末E:発信元電話番号通知
端末B→端末E:Private number
端末C→端末E:発信元電話番号通知
端末D→端末E:発信元電話番号通知

端末A、端末C、端末DはLTE接続ながらモバイルデータ通信をOFFに切り替え、そのうえで端末A以外は無線LAN接続を維持すると結果は下記の通りとなった。

端末A→端末E:発信元電話番号通知
端末B→端末E:Private number
端末C→端末E:Private number
端末D→端末E:Private number

当然ながら、端末Aから発信するとモバイルデータ通信の状態に関係なく発信元の電話番号が通知される。

Rakuten Linkでは通信事業者に関係なくモバイルデータ通信を利用できる場合は発信元としてRakuten Mobileの電話番号を通知し、SIMカードの装着に関係なくモバイルデータ通信を利用できない場合は発信元の電話番号が通知されないと判断できる。

端末A、端末B、端末Eを用意した場合、端末A、端末C、端末Eを用意した場合、端末A、端末D、端末Eを用意した場合に、それぞれ端末Aから発信すると当然ながらRakuten Mobileの電話番号が通知されるため、端末Eから折り返しでRakuten Mobileの電話番号に発信できるが、検証1の通りにRakuten Linkで優先的に着信を受けることから、それぞれ端末B、端末C、端末Dで着信を受ける。

そのため、Rakuten MobileのSIMカードを装着した端末とRakuten Linkを利用する端末を分離すると、発信側の条件次第では最初に発信した端末とは別の端末で折り返しの着信を受ける場合がある。

■検証3 (電源OFF)

Rakuten MobileのSIMカードを装着した端末の電源はONまたはOFFに関係なく、Rakuten Linkを利用する端末で優先的に着信を受けるため、優先的に着信を受けるRakuten Linkを利用する端末の電源をOFFにして動作を確認してみた。

端末A、端末B、端末Eを用意した場合、端末A、端末C、端末Eを用意した場合、端末A、端末D、端末Eを用意した場合、いずれも端末Aで着信を受けた。

端末Eで発信してから端末Aで着信を受けるまで、Rakuten Linkを利用する端末で着信を受けるより時間を要するように感じた。

Rakuten Linkで優先的に着信を受けようと試みるが、Rakuten Linkで着信を受けられない状態を判断し、端末Aで着信を受ける模様である。

電源をOFFにしたRakuten Linkを利用する端末の電源をONにしたところ、Rakuten Linkには着信の通知が入っていた。

余談ではあるが、Rakuten Linkのアクティベーションを完了できても、Rakuten Linkが正常に動作しない端末が存在している。

端末Cと同等の条件をRakuten Linkが正常に動作しない端末で整備し、これを端末C2と呼称する。

端末EからRakuten Mobileの電話番号に発信すると、端末C2は画面が消灯状態から点灯して反応は見せるが、着信を受けることはできず、しばらく経過してから端末Aで着信を受けることができた。

端末C2のRakuten Linkには着信の通知が入っていた。

Rakuten Linkが正常に動作しない端末ではRakuten Linkを利用する端末の電源をOFFにした状態と近い動作を行うと思われ、Rakuten Linkで優先的に着信を受けようと試みるが、Rakuten Linkで着信を受けられない状態を判断し、端末Aで着信を受ける模様である。

■検証4 (SMS)

端末A、端末B、端末Eを用意した場合、端末A、端末C、端末Eを用意した場合、端末A、端末D、端末Eを用意した場合、それぞれ端末EからRakuten Mobileの電話番号にSMSを送信すると、端末B、端末C、端末DでSMSを受信した。

ただ、音声通話と異なる点として、端末B、端末C、端末Dの電源をOFFにしたところ、端末AでSMSを受信できるわけではなく、端末B、端末C、端末Dの電源をONにするとSMSを確認できた。

SMSはRakuten Linkで受信することが分かる。

■感想

Rakuten MobileのSIMカードを装着した端末とRakuten Linkを利用する端末を分離して使うことはあまりないと思われるが、Rakuten Linkが正常に動作する端末を所有していれば、海外渡航時などでは便利に活用できると思われる。

あくまでも2020年4月9日時点の動作であり、将来的に仕様が変更される可能性もなくはないことを留意されたい。

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