韓国の携帯電話事業者、一部でノキアの5G基地局を他社に交換
- 2021年05月09日
- 海外携帯電話
韓国の移動体通信事業者(MNO)各社は一部の地域でフィンランドのNokia Solutions and Networks製の第5世代移動通信システム(5G)および第4世代移動通信システム(4G)の基地局を撤去して他社に交換していることが分かった。
韓国では地域ごとに基地局ベンダが異なり、SK Telecomは江原道を含めた複数の地域でNokia Solutions and Networksを採用していたが、江原道のほぼ全域でNokia Solutions and Networksから韓国のEricsson-LGに交換した。
また、KT Corporationは光州広域市、全羅北道、全羅南道でNokia Solutions and Networksを採用していたが、このうち光州広域市ではNokia Solutions and Networksから韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)に交換した模様である。
KT Corporationが撤去したNokia Solutions and Networksの基地局には開設から2年程度の新しい基地局も含まれており、合計で数千台、金額ベースでは数百億韓国ウォンの規模に達するという。
Nokia Solutions and Networks製の基地局を撤去した背景に関して、SK Telecomは様々な状況を考慮したと説明するにとどまり、他社に変更した事実は認めたが、詳細な理由は公表を避けた。
開発速度が速く、大量納品が可能な基地局ベンダに変更する狙いがあると思われる。
5GのNR方式は4GのLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成で運用しており、韓国の移動体通信事業者が調達した基地局は異なる基地局ベンダ間でE-UTRA-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)を実装できないため、5Gに加えて4Gの基地局も交換する必要が生じた。
SK Telecomは公表していないが、KT CorporationおよびLG U+として事業を行うLG Uplusは基地局ベンダ別の5Gの基地局の開設状況が判明している。
KT Corporationの場合は5Gを商用化した当初より首都・ソウル特別市、釜山広域市、仁川広域市、大田広域市、蔚山広域市、世宗特別自治市、京畿道、江原道、忠清南道、慶尚南道、済州特別自治道ではSamsung Electronicsを採用、大邱広域市、忠清北道、慶尚北道ではEricsson-LGを採用、光州広域市、全羅北道、全羅南道ではNokia Solutions and Networksを採用してきた。
2020年12月30日時点で5Gの基地局数はSamsung Electronicsが38,428局で約68.9%、Nokia Solutions and Networksが9,856局で約17.7%、Ericsson-LGが7,522局で約13.5%を占めており、Samsung Electronicsが7割近くを占める状況であるが、光州広域市でSamsung ElectronicsからNokia Solutions and Networksに交換したことで、さらにSamsung Electronicsの比率が上昇し、一方でNokia Solutions and Networksの比率が下降する見込み。
LG Uplusの場合はソウル特別市および首都圏、江原道では中国のHuawei Technologies (華為技術)を採用、光州広域市、忠清北道、忠清南道、全羅北道、全羅南道ではSamsung Electronicsを採用、釜山広域市、蔚山広域市、大邱広域市、慶尚北道、慶尚南道ではNokia Solutions and Networksを採用、その他の地域はEricsson-LGを採用しており、比率はHuawei Technologies、Samsung Electronics、Nokia Solutions and Networksがそれぞれ30%前後、Ericsson-LGが10%前後という。
なお、Ericsson-LGはスウェーデンのEricssonと韓国のLG Electronics (LG電子)の合弁会社である。
Ericsson-LGに対する持分比率はEricssonが75%、LG Electronicsが25%となり、Ericssonの子会社となっている。
Ericssonの韓国における事業は基本的にEricsson-LGを通じて展開する。
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