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GSMAがマレーシアの5G展開に懸念を表明



携帯電話の業界団体であるGSM Association (以下、GSMA)はマレーシアにおける第5世代移動通信システム(5G)の展開に懸念を表明した。

マレーシア政府は迅速な5Gの整備および設備投資の削減を目的として5Gの展開では単一卸売網を採用することになった。

単一卸売網は5Gの周波数や運用に必要な免許を1社に付与し、その1社が単独で5Gを整備かつ既存の移動体通信事業者(MNO)や仮想移動体通信事業者(MVNO)に卸提供する形態である。

卸提供を受ける5Gは既存の移動体通信事業者も仮想移動体通信事業者として5Gを加入者に提供することになる。

英語ではSingle Wholesale Networkとなるため、GSMAは略称のSWNと呼称している。

GSMAが公開した分析資料では他国の実績も紹介したうえでマレーシア政府の決定に懸念を表明した。

第4世代移動通信システム(4G)の時代には一部の政策立案者は単一卸売網を採用することで、より広範なカバレッジを達成できると考えた。

そのため、ベラルーシ、ルワンダ、メキシコの3ヶ国では実際に採用したが、いずれも困難を経験しているという。

ベラルーシではデータ通信の普及率がほかの欧州各国と比べて低いほか、通信速度もほかの欧州各国より低速にとどまる。

ルワンダでは仮想移動体通信事業者の競争が働かず、4Gを整備する唯一の移動体通信事業者は損失の計上が報告されている。

メキシコでは4Gの展開に遅れが生じているほか、GSMAが分析資料を公表後に単一卸売網を整備する移動体通信事業者が経営破綻した。

また、ロシア、ケニア、南アフリカでは計画を中止するなど、事実として世界的に成功した事例がない。

GSMAの分析資料では言及していないが、ブルネイ・ダルサラームも採用しているため、実際に採用した国はベラルーシ、ルワンダ、メキシコ、そしてブルネイ・ダルサラームの4ヶ国となる。

複数の移動体通信事業者に周波数などの免許を付与する一般的な方式では競争が加速して広範なカバレッジを実現した確かな実績があるが、単一卸売網はそうではない。

卸提供を受ける仮想移動体通信事業者が加入者向けのサービスの開発に特化し、競争を促進できるとの考え方も示されていたが、実際にはカバレッジや品質を通じて競争力を獲得する能力を直接的に制約することになり、競争環境の整備には貢献しなかった。

多くの移動体通信事業者は複数の周波数を保有し、時代や場所など条件に応じて適した通信方式および周波数を使用して携帯通信網を整備する。

移動体通信事業者が周波数ポートフォリオを完全に管理できる場合は周波数ポートフォリオの最適化も行えるが、単一卸売網ではそれが困難となり、非効率を生み出すことも懸念されている。

このような状況からGSMAとしてはマレーシアにおける5Gの展開に懸念を表明した。

なお、マレーシアでは政府機関の財務省(Ministry of Finance)が完全所有するDigital Nasionalが5Gを整備する唯一の移動体通信事業者となる。

通信設備はスウェーデンのEricssonから調達することも決定している。

既存のマレーシアの移動体通信事業者は仮想移動体通信事業者として5Gを提供することになり、既存の周波数では5Gを導入できない。

GSMA

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