日本の携帯電話事業者各社が5G NRを導入へ、採用するNR Bandは
- 2019年04月10日
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総務省(Ministry of Internal Affairs and Communications:MIC)は第5世代移動通信システム(5G)の周波数の割当先を発表した。
NTT DOCOMO、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephone (沖縄セルラー電話)、SoftBank、Rakuten Mobile (楽天モバイル)の4者が5Gの周波数を確保し、5Gを導入することが決まった。
なお、KDDIおよびその連結子会社であるOkinawa Cellular Telephoneは地域ごとに連携する者として申請しているため、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephoneで1の申請とみなされる。
NTT DOCOMO、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephone、SoftBank、Rakuten Mobileいずれも5Gでは無線設備規則第49条の6の12に規定する技術基準(5G NR)に係る無線設備を使用すると申請しており、5Gの通信方式として標準化団体の3GPP (3rd Generation Partnership Project)が5Gの要求条件を満たすために規定したNR方式を導入することが確定した。
そこで、3GPP Release 15で定義されたNR Bandをベースとして、各社が採用する可能性があるNR方式のNR Bandを推測してみた。
まず、周波数の割当枠、該当するNR Band、割当先は下記の通り。
■割当枠
ア:3,600MHzを超え3,700MHz以下
イ:3,700MHzを超え3,800MHz以下
ウ:3,800MHzを超え3,900MHz以下
エ:3,900MHzを超え4,000MHz以下
オ:4,000MHzを超え4,100MHz以下
カ:4,500MHzを超え4,600MHz以下
キ:27.0GHzを超え27.4GHz以下
ク:27.4GHzを超え27.8GHz以下
ケ:27.8GHzを超え28.2GHz以下
コ:29.1GHzを超え29.5GHz以下
■NR Band
ア:n77またはn78
イ:n77またはn78
ウ:n77
エ:n77
オ:n77
カ:n79
キ:n257またはn258
ク:n257
ケ:n257またはn261
コ:n257
■割当先
ア:NTT DOCOMO
イ:KDDI+Okinawa Cellular Telephone
ウ:Rakuten Mobile
エ:SoftBank
オ:KDDI+Okinawa Cellular Telephone
カ:NTT DOCOMO
キ:Rakuten Mobile
ク:NTT DOCOMO
ケ:KDDI+Okinawa Cellular Telephone
コ:SoftBank
アからオが3.7GHz帯、カが4.5GHz帯、キからコが28GHz帯となる。
3.7GHz帯はn77がすべての割当枠で共通するNR Bandとなる。
ただ、世界的にはFR1ではn78が最も主流のNR Bandであるため、n78を採用できるアとイではn78を採用する可能性も決して排除できない。
特にNTT DOCOMOは3.7GHz帯ではアのみを取得したため、n78を導入する可能性も十分に考えられる。
一方、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephoneは3.7GHz帯でイに加えてn77のみのオも取得しているため、n77のみを採用する可能性がある。
ウ、エ、カでは選択肢がほかにないことから、SoftBankおよびRakuten Mobileの3.7GHz帯はn77で確定、NTT DOCOMOの4.5GHz帯はn79で確定と思われる。
参考までに、FR1でNR方式を商用化した通信事業者は韓国のSK Telecom、KT Corporation、LG Uplus (LG U+)の3社であるが、いずれもNR Bandはn78を採用する。
3.7GHz帯ではNTT DOCOMOとSK Telecomがまったく同じ周波数範囲となる。
中国本土、豪州、欧州各国でもn78を導入することが決定的で、発表済みのNR方式に対応した携帯端末はn78のみに対応する機種が多い。
世界的には4.5GHz帯は5Gへの割当があまり進んでいないが、n79は中国本土で割当が確定しており、中国本土のほかに香港特別行政区およびマカオ特別行政区でも採用される見込み。
なお、日本では第4世代移動通信システム(4G)向けに3.4GHz帯および3.5GHz帯を割当済みで、NTT DOCOMOは3,440MHzを超え3,480MHz以下および3,480MHzを超え3,520MHz以下、KDDIおよびOkinawa Cellular Telephoneは3,520MHzを超え3,560MHz以下、SoftBankは3,400MHzを超え3,440MHz以下および3,560MHzを超え3,600MHz以下を保有するが、いずれもLTE方式からNR方式に転用時のNR Bandとしてはn77またはn78を採用できる。
FR2の28GHz帯はキからコすべてn257が共通するNR Bandとなる。
FR2でNR方式を商用化した通信事業者はVerizon Wirelessとして事業を行う米国のCellco Partnershipのみで、Cellco PartnershipはNR Bandとして28GHz帯でn261、39GHz帯でn260を採用する。
28GHz帯は世界各地で割当の計画があり、すでに一部の国や地域で割当が完了している。
なお、39GHz帯は日本では割当していないため、ここでは無視する。
標準化活動の際に提案された周波数範囲からn261の採用は北米地域のみで、グローバルではn257が主流となる可能性が高く、日本国内ではすべてn257を採用する可能性がある。
2019年4月10日時点で以上の点を踏まえて、各社が採用するNR Bandを下記の通り推測してみた。
NTT DOCOMO:n77またはn78、n79、n257
KDDI+Okinawa Cellular Telephone:n77、n257
SoftBank:n77、n257
Rakuten Mobile:n77、n257
当たるといいな…
※ 追記
認証情報などに基づくNR Bandの予想の最新版は下記の記事を参照されたい。
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