豪州のTelstra、3社に分割へ
- 2020年11月15日
- 海外携帯電話
豪州(オーストラリア)の移動体通信事業者(MNO)であるTelstraは大規模な組織構造の再編を実施すると発表した。
Telstraはグループを統括する持株会社としてTelstra Groupを立ち上げ、Telstra Groupの傘下に3社の事業会社を設立し、会社分割によりTelstraの事業を設立した3社に承継させる計画である。
事業会社は固定通信インフラ会社、通信塔インフラ会社、サービス提供会社の3社を設立する方針で、再編を完了後もTelstra Groupの傘下で運営を継続するという。
固定通信インフラ会社はTelstraの固定通信網を支える光ファイバ、データセンター、海底ケーブル、交換局をはじめとした固定通信用のインフラストラクチャの所有および運営を行う。
通信塔インフラ会社は通信塔の所有および運営を担当する。
サービス提供会社はサービスおよび製品の開発や販売を行うほか、携帯通信用の無線アクセスネットワーク(RAN)および周波数の所有および運営を行うと説明している。
再編を完了後はサービス提供会社が移動体通信事業者として機能することになり、周波数の取得から無線アクセスネットワークの整備、移動体通信事業者として提供する携帯通信サービスの開発および提供、スマートフォンをはじめとする携帯端末の販売などを担当する予定である。
同時に第5世代移動通信システム(5G)の展開および周波数の再編に関する計画も発表している。
Telstraは2019年5月28日に豪州を含めた大洋州(オセアニア)では初めて5GのNR方式を導入し、当初より周波数はサブ6GHz帯の3.5GHz帯を使用していたが、2020年5月26日には試験用として割当を受けたミリ波(mmWave)の26GHz帯を商用で使用するための許可を取得しており、26GHz帯も商用で使用を開始した。
26GHz帯は2021年に正式な割当が行われる見込みで、2021年半ば以降に本格的な使用を開始できる見込みという。
既存の周波数に関しては2020年より700MHz帯を第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式から、850MHz帯を第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式からNR方式に転用を順次開始し、2.6GHz帯ではLTE方式とNR方式で動的に周波数を共有するダイナミックスペクトラムシェアリング(DSS)を順次実装する計画である。
NR Bandは700MHz帯がn28、850MHz帯がn5、2.6GHz帯がn7、3.5GHz帯がn78、26GHz帯がn258となる。
また、通信塔インフラ会社が所有および運営する通信塔は7割近くが携帯通信用となり、主に携帯通信用の無線機やアンテナなどの設置場所として活用している。
8,200ヶ所のうち携帯通信用は5,570ヶ所と67.9%に達しており、5,570ヶ所のうち4,410ヶ所がメトロエリアおよびリージョナルエリア、1,160ヶ所がリモートエリアに所在する。
2021年12月末までに再編を完了する計画で、2021年2月にはその時点で最新の進捗状況を案内する予定という。
再編を完了するためには関連する規制当局の承認などが必要となるため、状況に応じて取り組みの一部の実行に遅延が生じる場合やまったく実行されない場合があり、最終的な決定は行われていないことを明確化した。
Telstraの歴史の中で最も重要な変革のひとつとなり、特に2006年の民営化以降は最大の再編になると説明している。
なお、Telstraは加入件数を基準に豪州で最大の移動体通信事業者となっている。
スポンサーリンク
コメントを残す
コメントを投稿するにはログインしてください。