SK Telecomなどが5G NRでNSA Option 4の導入を検討
- 2021年03月06日
- 海外携帯電話
韓国の移動体通信事業者(MNO)であるSK Telecomなどは第5世代移動通信システム(5G)の要求条件を満たすために規定されたNR方式でノンスタンドアローン(NSA)構成のOption 4の導入を検討していることが分かった。
Option 4の無線アクセスネットワーク(RAN)構成は第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するNSA構成であるが、コアネットワークは5G向けの5GCを使用し、NR方式が単独で動作するスタンドアローン(SA)構成のOption 2で実現できるeMBB (超高速大容量)、URLLC (低遅延高信頼)、mMTC (同時多接続)、ネットワークスライシングを実装できる。
これまで、SK TelecomはNSA構成のOption 3で運用している。
Option 3はeNBがマスターノード、en-gNBがセカンダリノードとなるため、アンカーバンドとして機能するLTE方式に常時接続が必要で、E-UTRA-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)を適用してLTE方式とNR方式で同時通信を行う。
EN-DCを適用時に広帯域を使用してeMBBを実現できるが、コアネットワークとして4G向けのEPCを使用するため、URLLC、mMTC、ネットワークスライシングを実現できない。
SK Telecomは早ければ2021年上半期にもSA構成で5G向けコアネットワークの5GCを使用するOption 2を導入し、従来のOption 3で実現できるeMBBに加えてURLLC、mMTC、ネットワークスライシングも新たに実装する計画である。
gNBがマスターノードとなるOption 2はLTE方式のアンカーバンドが不要であるが、LTE方式と同時通信しないため、データ通信サービスとしての通信速度の理論値が低下する。
SK Telecomでは通信速度の理論値はNR方式が下り最大1.5Gbps、LTE方式が下り最大1.2Gbpsとなるため、Option 3でEN-DCを適用すると下り最大2.7Gbpsで提供できるが、Option 2では下り最大1.5Gbpsにとどまる。
EN-DCで使用するすべてのLTE方式の搬送波をNR方式に転用し、NR方式でキャリアアグリゲーション(CA)を実装すればLTE方式と同時通信する必要はないが、早期にすべてのLTE方式の搬送波を転用することは現実的ではない。
そこで、通信速度を維持した状態で従来のeMBBに加えて、SA構成の特徴となるURLLC、mMTC、ネットワークスライシングも実装できるOption 4をソフトウェアのアップデートを通じて導入する方針という。
Option 4はgNBがマスターノード、ng-eNBがセカンダリノードとなるため、NR方式がアンカーバンドとして機能し、NR-E-UTRAデュアルコネクティビティ(NE-DC)を適用してNR方式とLTE方式の同時通信が可能となる。
gNB側ではeMBB、URLLC、mMTC、ネットワークスライシングに対応し、NE-DCを適用時にEN-DCを適用時と同等の通信速度を維持できる。
Option 4はNSA構成ではあるが、SK TelecomはアンカーバンドのNR方式が単独で動作できることも考慮して、次世代SA構成と表現している。
SK TelecomはSA構成を単独モード、NSA構成は非単独モードと呼称し、非単独モードから単独モードにアップグレードして5Gのすべての機能を実現すると強調してきたため、非単独モードやNSA構成の表現はあまり使用したくないと思われる。
SK Telecomは2023年末までにOption 4を商用化するために研究開発に努める方針という。
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