ドイツのVodafone Germanyが5G NRのSA構成を商用化、欧州では初めて
- 2021年05月02日
- 海外携帯電話
英国のVodafone Group Plcの完全子会社でドイツの移動体通信事業者(MNO)であるVodafone GmbH (以下、Vodafone Germany)は第5世代移動通信システム(5G)の要求条件を満たすために規定された無線方式であるNR方式でスタンドアローン(SA)構成を商用化した。
Vodafone Germanyは2019年7月17日にNR方式を導入したが、当初は第4世代移動通信システム(4G)のLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成のOptin 3で運用してきた。
2021年4月12日にSA構成のOption 2で運用を開始したが、2021年4月12日時点でVodafone Germanyが正規に取り扱う端末ではSA構成が有効な端末が存在しなかった。
2021年4月30日よりVodafone Germanyが正規に取り扱う一部の端末に対してSA構成を有効化するソフトウェアのアップデートの提供を開始しており、2021年4月30日より正式にSA構成でも5Gを提供することになった。
Vodafone Germanyは欧州の移動体通信事業者としては最初にSA構成を商用化しており、顧客は新しい技術を初めて商用環境で利用できるようになると説明している。
SA構成のOption 2はコアネットワークとして5G向けの5GCを使用するため、従来のNSA構成のOption 3で実現した超高速大容量(eMBB)に加えて高信頼低遅延(URLLC)、多数同時接続(mMTC)、ネットワークスライシングなどの機能も実装できる。
SA構成で利用するためにはオプションの加入と対応した端末を利用することが必要となる。
オプションは5Gコアネットワークオプションとして提供しており、追加料金は発生しない。
5Gコアネットワークオプションは2021年4月19日より加入を受け付けている。
SA構成に対応した最初の端末は中国のGuangdong OPPO Mobile Telecommunications (OPPO広東移動通信)製のOPPO Find X3 Proで、2021年4月30日に提供を開始したソフトウェアのアップデートを適用する必要があることを留意しておきたい。
また、韓国のSamsung Electronics (サムスン電子)製のSamsung Galaxy S21 5G、Samsung Galaxy S21+ 5G、Samsung Galaxy S21 Ultra 5Gに関しては具体的な時期を公表していないが、間もなくSA構成に対応するソフトウェアのアップデートの提供を開始する予定という。
なお、NSA構成ではLTE方式とNR方式が同時通信するE-UTRA-NRデュアルコネクティビティ(EN-DC)を適用して通信速度は下り最大1Gbpsとなるが、SA構成ではLTE方式と同時通信する必要がなくなるため、通信速度は下り最大700Mbpsとなる。
将来的にSA構成でキャリアアグリゲーションを実装し、1Gbps以上の通信速度を実現する計画である。
Vodafone Germanyは複数の周波数でNR方式を導入しており、具体的には2019年7月17日に3.5GHz帯、2020年4月21日に700MHz帯、2020年7月28日に1.8GHz帯の使用を開始している。
NR Bandは3.5GHz帯がFR1のn78、700MHz帯がFR1のn28、1.8GHz帯がFR1のn3となる。
まずはn78でSA構成を有効化しており、ドイツ全土の約300ヶ所に開設した約1,000局のn78の基地局を通じてSA構成を利用できる。
基地局はスウェーデンのEricssonおよびフィンランドのNokia Solutions and Networksより調達したという。
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