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CHEO Technologyの2020年通期の業績が判明、北朝鮮のkoryolinkを運営

  • 2021年07月14日
  • DPRK


朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の移動体通信事業者(MNO)であるCHEO Technology JV Company (逓オ技術合作会社:以下、CHEO)の2020年通期の業績が判明した。

2020年12月31日に終了した12ヶ月間となる2020年通期の売上高は前年同期比3.17%減の63億5,312万4,000エジプトポンド(約446億5,850万円)、総経費は前年同期比3.62%減の27億5,548万3,000エジプトポンド(約193億6,933万円)、当期純利益は前年同期比2.83%減の35億9,764万1,000エジプトポンド(約252億8,918万円)となった。

CHEOはエジプトのOrascom Investment Holding (以下、OIH)と北朝鮮の政府機関で電気通信分野などの規制を司る逓信省(Ministry of Posts and Telecommunications:MPT)が完全所有する国営のKorea Posts and Telecommunications Corporation (朝鮮逓信会社:以下、KPTC)が共同で出資しており、持分比率はOIHが75%で、KPTCが25%である。

そのため、2020年通期のOIHに対する分配額は前年同期比2.83%減の26億9,823万1,000エジプトポンド(約189億6,688万円)となる。

また、2020年12月31日時点でCHEOの総資産は前年同期比12.58%増の345億6,786万エジプトポンド(約2,429億9,052万円)、総負債は前年同期比8.10%減の44億3,034万5,000エジプトポンド(約311億4,257万円)、純資産は前年同期比16.44%増の301億3,751万5,000エジプトポンド(約2,118億4,796万円)となっている。

CHEOはKPTCとエジプトのOrascom Telecom Holding (OTH:現、Global Telecom Holding (GTH))が朝鮮民主主義人民共和国外国人投資法に規定されている外国投資企業の外国人投資企業の合作企業として設立しており、原則として北朝鮮側の事業体であるKPTCが事業運営を担う。

登記上の本店所在地は北朝鮮の首都・平壌直轄市の平川区域に所在する普通江旅館(POTONGGANG HOTEL)内の事務所で、平壌直轄市の普通江区域に所在する逓信省の国際通信局(INTERNATIONAL COMMUNICATION CENTRE)に主要な業務拠点を有する。

第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式で携帯通信サービスを運営および提供するための免許に相当する合意書を2008年1月24日付けで逓信省と締結しており、2008年12月15日にW-CDMA方式で携帯通信サービスを商用化した。

koryolink (高麗リンク)の商標を使用して携帯通信事業を展開しているが、朝鮮語名称で高麗網を意味する고려망や携帯電話番号帯に由来する191の呼称も定着が進んでいる。

2020年通期の業績は減収減益を記録したが、CHEOおよびKPTCの方針と関連すると考えられる。

CHEOはOIHの意向を受けて携帯通信網の整備を平壌直轄市など主要都市とその周辺に集中する方針に切り替えた。

ただ、KPTCは北朝鮮全土で携帯通信網を整備する必要があると認識し、CHEOが整備しない地域を中心にKPTCが移動体通信事業者として独自に整備することになった。

KPTCはKANGSONG NET (強盛網)として携帯通信サービスを提供しており、一部の地域ではkoryolinkからKANGSONG NETへの移行も行われている。

すべての携帯電話のうちスマートフォンの比率が上昇する中でデータ通信の需要も増大しているが、koryolinkの規模縮小が業績に影響したと思われる。

一部の地域では提供エリアが重複しているが、koryolinkとKANGSONG NETの整備方針から分かるように、基本的に大部分はkoryolinkとKANGSONG NETで提供エリアが異なるため、相互に国内ローミングを提供している。

なお、国際連合安全保障理事会(United Nations Security Council)が2017年9月11日に全会一致で採択した決議第2375号(2017)に基づき、原則として北朝鮮の事業体や個人と構成した既存の合弁事業は解消する必要がある。

既存の合弁事業の解消は個別に免除を申請できるため、OIHはCHEOの事業を継続するために免除を申請した。

決議第1718号(2006)に基づき設立された国際連合安全保障理事会の1718委員会はOIHの申請を審査し、CHEOの事業を公益事業と判断したため、免除の対象として認定することになった。

OIHは2018年12月26日付けで1718委員会より正式に免除の承認を受けた。

そのため、OIHはkoryolinkの携帯通信事業を中心としたCHEOの事業を継続できる。

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