シンガポールのStarHub Mobile、5G NRでSA構成を導入
- 2021年08月06日
- 海外携帯電話
シンガポールのStarHub (星和)の完全子会社で同国の移動体通信事業者(MNO)であるStarHub Mobile (星和移動)は第5世代移動通信システム(5G)の要求条件を満たすために策定された無線方式であるNR方式でスタンドアローン(SA)構成を導入した。
NR方式の無線アクセスネットワーク(RAN)構成としては単独で動作するSA構成および第4世代移動通信システム(4G)の無線方式であるLTE方式と連携して動作するノンスタンドアローン(NSA)構成が規定されている。
StarHub Mobileは2020年8月18日に5Gを商用化したが、当初はNSA構成で運用してきた。
しかし、2021年8月4日よりトライアルとしてSA構成を導入しており、特定の加入者は追加料金なしでSA構成の5Gを利用できる。
SA構成の5Gを利用するためにはMobile+またはBiz+に加入したうえで、5G SIMカードに交換することが条件となっている。
StarHub Mobileは個人向け料金プランではMobile+、法人向け料金プランではBiz+で5Gを提供している。
Mobile+またはBiz+に加入した場合はLTE方式に対応したSIMカードであればNSA構成の5Gを利用できるが、SA構成の5Gは利用することができない。
SA構成を導入するために2021年6月17日より5G SIMカードの提供を開始しており、5G SIMカードに交換すると2021年8月4日以降はSA構成の5Gの利用が可能となる。
通常はSIMカードの交換には手数料として37.45シンガポール(約3,041円)が発生するが、Mobile+またはBiz+に加入して5G SIMカードに交換する場合は無料で受け付ける。
トライアルとしてSA構成を導入するまでに、数千の加入者が5G SIMカードに交換したという。
SA構成の5Gの正式な料金プランはトライアルを完了後に発表する予定である。
すでにシンガポールでは5G向け周波数の割当を実施しており、StarHub Mobileはサブ6GHz帯の3.5GHz帯をシンガポールの移動体通信事業者であるM1 (第一通)と共同で取得し、ミリ波(mmWave)の28GHz帯を単独で取得した。
28GHz帯はシンガポールで対応した端末が正規に流通しておらず、カバレッジの確保の観点などから整備が容易ではない。
そのため、3.5GHz帯を主力の周波数として5Gを整備する計画であるが、3.5GHz帯で5Gを商用化する場合は2021年1月1日以降にSA構成を導入することが条件として義務付けられている。
このような条件が存在するため、サブ6GHz帯の2.1GHz帯で先行してNR方式を導入し、NSA構成で5Gを商用化することになった。
なお、NR Bandは2.1GHz帯がFR1のn1で、3.5GHz帯がFR1のn78である。
2.1GHz帯はLTE方式や第3世代移動通信システム(3G)のW-CDMA方式で使用する既存の周波数で、3.5GHz帯のような条件が設定されていないため、早期に5Gを導入することができた。
トライアルとしてSA構成を導入したが、安定した動作を確認後に3.5GHz帯も使用して正式にSA構成の5Gを商用化すると思われる。
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